尾張横須賀まつり〜大門組

09-07-18更新

大門組の山車は彫刻が他車と比べ比較的簡素である事や、高欄部の張り出しが比較的少ない事などから、横須賀の山車5輛の中でもっとも古い山車と思われます.山車の建造時期は不明ですが、古い水引幕が寛政6年(1794)に作られていることから、山車の建造もこの頃と推定されます.

からくり人形は、三番叟人形が朱塗りの社に変化するもので、その仕掛けの面白さが人気となっています.名古屋型に必須ともいえる前人形はなく、その位置には三方に乗せたn子(へいし)と神酒口(みきのくち)を飾ります.

この大門組の山車は細部が他の3組(4輛)と異なる事や、建造時期の違い、そして山車囃子や曳き廻しも他組と一線を画す部分があり、 山車祭りの起源を含めてその由来は不明ですが興味深いところです.

前棚壇箱彫刻はヒノキの白木彫りで瀬川治助重定の作です.北町組・本町組・八公車の壇箱が重定の子重光の作であることから、 横須賀の山車の特徴である前面白木彫刻は、この大門組が先駆で、以後他の山車にも受け継がれていったのでしょう.

近年高欄周りや支輪部に、地元の彫刻家村瀬明氏によって新たに彫刻が追加されています.
平成9年解体修理、台輪・柱・格子等新調.


空木立(からきだち)

夜祭り

 

耐震冷暖完備の山車蔵・若屋

 前人形のない前棚

■水引幕「紺地に鳳凰の織物」

四本柱後部を覆う追幕が見られるのは名古屋型では有松の唐子車などごく僅かです.
変化した社の裏側を見せないためでしょう.

采振り人形のない前棚

三方にのせられた瓶子(へいし・へいじ)が置かれます.

瓶子の口元に挿してあるのは神酒口(みきのくち)といい、御幣の変化したものといわれます.

左担ぎ

名古屋型では右肩で山車を担ぎ上げます.横須賀でも本町・北町・公通の各組は同様です.大門組ではどんてんなど右回りの場合は右肩で担ぎ上げますが、左へ回る時には左肩で楫棒を担ぎます.


天井は鏡天井です

元宮

大門組地内にある玉林寺南に小さな社があります.ここは寛保3年(1743) に現在の場所に愛宕神社が遷座されるまで、愛宕神社だったところで、今は「元宮」と呼ばれています.
試楽の夕刻、大門組の山車が元宮とその隣にある秋葉社にからくりを奉納するために曳かれてきます.
山車幅ギリギリの狭い道の曳行は横須賀まつり名物の一つに挙げられます.


旧幕の頃