豊田市挙母祭(写真54)、同市平井地区の祭礼などの山車の形式。下層は知立型と似ているが、上層を前後に分け(六本柱)、後半分に襖を巡らす。
上層の襖絵と豪華な大幕が特徴である。江戸時代の挙母祭では山車の前に舞台を作り、子供歌舞伎を演じた。
19世紀初めに知立型の影響を受けて完成されたものと思われる。現存12輌。
豊田市の東隣、足助町(現豊田市)の山車の形式。やはり上層を前後に分け(六本柱)、以前は後半分に襖を巡らしていた。前室後室の境(上層の中央部)に門の形に飾りを作る。
下層の正面中ほどに簡単な舞台を持ち、巡行中はここに3、4人の若衆が乗って囃したてる。足助祭(写真55)の4輌のみの形式。
大垣周辺に分布する山車の形式。現地では「曳?」と呼ばれている。三種類の形式がありこれらをあわせて大垣型と呼ぶことにする。
標準型(写真56)は名古屋型に似た、前棚を持つ山車。車輪が内輪で、背面に漆工や彫刻で飾られた「後?」があり、「見送り幕」をかけるところが名古屋型と異なっている。
鯰?型(写真57)は前棚のない古い型式。玉の井?型(写真58)は正面に舞台を持つ形式。いずれも背面の構造は共通している。
岐阜県羽島市(写真59)の山車(11輌)の形式。前面・後面の両方に、大垣型の後?と同様の漆工や彫刻で飾られた部分がある。背後には見送りを掛ける。
岐阜県養老町高田祭(写真60)の3輌の曳?の形式。名古屋型同様の前棚の下を彫刻で飾る。竹鼻型と似ているが、後?がなく見送りのみをかける。台輪から上が回転し、180度の方向転換ができる。
岐阜県八百津町の久田見祭(写真61)の山車(だんじり)の形式。二輪の小型の山車で、四本柱の上層の前に台を据え、その上でからくりを演じる。からくりは毎年新たに作られ、「糸切りからくり」の名で知られる。6輌がある。
飛騨の高山祭(春の山王祭、秋の八幡祭)及び古川町(現飛騨市)古川祭(写真62)の屋台の形式。屋根が切破風で、下層の中ほどに勾欄を巡らす。
棟飾り、瓔珞、羅網、極彩色の彫刻など、極めて豪華な装飾で覆われている。
標準的な高山型は二層式内輪の構造だが、高山には様々な形に変化したものがある。外輪で御所車を持つ形式や三輪の屋台は、名古屋系統の山車では珍しい。
また、三層式の屋台は犬山型山車とよく似ている。変形型も入れて、現存30輌。高山、古川には他に太鼓台の屋台(神楽台型)が5輌ある。