東海の山車祭り

第1章 山車祭りの魅力 (4/7)

曳き回し

さて、山車の魅力として、山車の装飾、夜祭、芸能などについて述べてきたが、山車の最大の魅力は何と言っても曳き回しである。曳き回しの迫力のある祭りは、必ず面白い。

山車を曳き回すにはその舞台が重要である。山車には、それが最も美しく見え、迫力が感じられる道幅と町並みが必要だ。

どこの祭りでも、山車は江戸時代のその町の町並みと道幅にぴったりと合うように作られている(と私は信じている)。
近年では、山車を町の中心の大通りに曳き出す例が多く見られるが、これではどんな立派な山車や、迫力ある曳き回しも見すぼらしく見えてしまう。


7 名古屋まつり「山車揃え」
特に、名古屋まつり(市民祭)(写真7)の重要文化財山車揃えは考え物である。あれではかえって、名古屋の山車は貧弱だという間違った印象を広めているのではないか。

こうした、見栄えの問題に加え、祭りを演じる人と観客との関係も、また重要である。日本の祭りは、広い道の真ん中を行列が進み、遠くから観客が見るという性格のものではない。

演者と観客が同一平面で、ほとんど混じり合った状態になって一緒に作り上げて行くのが山車祭りの特徴でもある。狭い道を山車が軒ぎりぎりに進んで来るのを壁にへばりついて見る、これが面白い。


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