[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][山車の構造〜猫足]

第84回 山車の構造〜猫足

乙川・南山「八幡車」
 猫足とは机や膳などの用いられた装飾的な形の足をいいます。付け根から細くなり先が膨らみ、猫の足に似ていることからそう呼ばれます。知多型山車の構造部分では正面壇箱の下部をいいます。足ということから厳密には壇箱の床板につけられた足を指すと思われますが、一般的には壇箱下部の全体を指して使われるようです。足と足の空間に入れられた彫刻も猫足といいますが、この部分は猫足彫刻といった方が妥当かもしれません。
 さて、この猫足ですが壇箱の発達と共に付け加えられた部分です。単なる箱型の壇箱(東大高の山車)や板と板で彫刻を挟み込んだ壇箱(布土平田の山車)など古い形の壇箱には見られ
亀崎・西組「花王車」
ません、しかし宝暦の山車といわれる河和中組の山車には現在のものと同様な猫足が見られます。 多くの山車にはほとんど見られますが亀崎西組「花王車」にはありません。花王車の壇箱は他の亀崎の四台の山車と比べ、御殿造りの彫刻の関係で高さがあります。猫足があると壇箱全体の高さが高くなることから、他の山車に合わせるため、猫足を省いたのではないかと思われます。
 一概に猫足といっても様々な猫足があります。もっとも多いのが足の部分に唐草文様が彫られた猫足です。こうした猫足の彫刻は正面に二面左右に夫々一面づつの計四面の彫刻が入れられます。この数はどこも同じです。
 次に多いのが足の部分が斗形になっているものです。こうした猫足の彫刻は斗形の数も様々で数も一定していません。斗形の数が多いほど彫刻の幅も狭まり、数も増えます。彫刻の数の関係は「蟇股」の項をご参照ください。
乙川殿海道山「源氏車」
 特殊なものとしては乙川殿海道山「源氏車」は斗形状の猫足の下に更に唐草の猫足があります。唐草の猫足部分は足だけで足と足の空間には背板もなく彫刻も入れられていません。これが厳密にいう壇箱につけられた足といえるでしょう。
 上半田北組唐子車のものは個々の足が独立しておらず一枚板の側面に空間が空けられそこに彫刻が入れられています。亀崎石橋組青龍車も同様の猫足です。長尾下門八幡車のものは足の部分も全体が彫刻で造られ、間の彫刻とあいまって猫足全体が彫刻でまとめられています。

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