■花王車の前棚からくり人形
初の日(初日)に神官と、後の日(二日目)の替え人形として石橋の二体の人形を使い分けています。まれに後の日の夕刻に神官に載せ替える場合があります。
神官
初の日(前の日)に使用される人形です。
左手に御幣を持ち神楽に合わせて舞います。
天保年間 五代目玉屋庄兵衛作
昭和48年七代目玉屋庄兵衛修理
石橋(替え人形)
後の日に使用される人形です。
手に牡丹の花を持ち舞います。
能楽の石橋に由来するからくりです。
昭和27年から替え人形として使用。
■上山からくり人形「桜花唐子遊び」
西組の上山からくりは桜の枝から下がった綾(あや)に唐子人形が手足を交互に掛け次々に渡っていくもので、「綾渡り」と呼ばれるからくりです。
その操作は桜木の枝と幹の中を通した糸で綾棒を回転させることによって行われます。
このように人形本体を直接糸で操ることなく人形を操作する、いわゆる「離れからくり」に分類される難易度の高いからくりとして知られています。
この綾渡りのからくりは高山祭をはじめ尾張地方でも犬山祭などで伝えられており、数多い山車からくりでも動きのダイナミックなことから人気の出し物となっています。
さらに、西組の綾渡りが特徴的なのは綾の数が7本と多く、更に途中で進行方向が90度変わることから更に見応えのあるからくり演技となっています。
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歴史
『尾張名所図会附録ー小治田之真清水(おわりだのましみず)』に弘化5年(1848)と推定される亀崎の祭礼の様子が描かれています。
そこに綾渡りと思われるからくりが描かれており、亀崎西組の綾渡りは弘化5年には既に存在していたと思われます。
また同志社大学教授の山田和人教授の研究によれば、竹田からくりを紹介する「竹田大絡繰」に「翩翻の文(あや)」として綾渡りのからくりが演目として掲載されており、竹田からくりを研究する上で貴重なものとのことです。
昭和13年(1938)より途絶えたままだったこのからくりは、昭和49年(1974)残っていた古い親木などの部材を元に手を加え、また一部は新たに制作して復活しました。
当時は桜木が現在より前方に位置し、人形方は桜木の後方に2名が並んで操作していましたが、平成16年の祭礼より桜木を上山内に移動し、操作を下から行う方法に変更されました。
現在の桜木は平成22年(2010)に復元新調されたもので、自然の曲線を活かした桐材で制作されています。
昭和49年(1974)の復活時より使用されていた唐子人形二体の作者と製作年は不明です。
平成31年(2019)唐子2体復元新調
※特記のない下記写真はすべて旧唐子人形です(後日差し替え予定)
桜木の全景
平成22年(2010)復元新調の桜木です
枝から下がった7本の綾が見えます
綾に飾られた赤房は初の日に使用、後の日は青房になります
からくり全景 桜木と唐子2体
2体が渡り終えると桜吹雪が舞います
令和元年復元新調の赤唐子
令和元年復元新調の青唐子