■前棚人形「三番叟」
人形と同色の羽織を着た小学生による三人遣いの三番叟で、1人が胴と頭、2人が左右の手、左右の足を分担し操作します。
まばたきをする目と口を動かすことができます。
知多半島では宮本の組(神社に最も所縁のある組)が三番叟を奉納する例が多く、この亀﨑でも宮本にあたる東組が前棚で三番叟を奉納します。
三番叟人形
昭和30年(1955)日下浄雲作
■上山からくり人形「湯取神事」
湯取神事(湯立神事)の所作を神官と神子の2体で演じます。
神官が御幣で湯釜を清めると巫女が両手に玉串を持ち、勢いよく振ると湯花に見立てた紙吹雪が釜から吹き出します。
湯取神事は湯立て神事とも呼ばれ、沸騰した釜の中の湯を榊や笹で振り掛け穢れを祓い清めるものです。
湯取神事のからくりは名古屋東照宮祭で万治元年(1658)桑名町から曳き出された「湯取神子車(ゆとりみこ)」が嚆矢で、その後名古屋市内や尾張各地の山車で演じられています。
昭和7年(1932)荒川宗太郎作
神子人形
昭和7年(1932)荒川宗太郎作
神官人形
昭和7年(1932)荒川宗太郎作
宮本ならではのからくりとして
上山人形の謡で始まる上山人形の歌詞には
『鶴が来て舞う亀崎の春の潮干の御祭礼 曳き出す山車のその中に 氏子の人の罪咎を 祓い清める三番叟 御神湯神楽の有り難や 宮本車の尊しや 宮本車の尊しや』とあります。
氏神所縁(ゆかり)の宮本としての自負と責任を三番叟と湯取神事のからくりで表現しているのでしょう。