[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][支輪]

第138回 支輪

 支輪(しりん)とは高さの異なった二本の平行材(通肘木と通肘木、通肘木と桁など)を斜めに連結する部材です。要は二本の平行材の空間を埋める化粧材です。
枝輪とも書く様です。山車の構造部分では知多型は壇箱、前山、堂山、上山に、名古屋型は堂山、上山に見られます。但し、構造上、斗形造の構造の部分に限られます。
 堂宮建築で多く見られる基本形の支輪は細長い材を平行材に直角に並べ裏に板を張ったもので蛇腹様ですが、知多地方の山車には見られません。(以前、滋賀県日野の曳山で見ました。)
 構造は異なりますが天井の項で触れた格子の折上天井の折上た縁の部分の様な造りです。
特に知多型の支輪の多くは彫刻が施され優れた物が多くあります。装飾的に分類して紹介します。
・ 塗絵支輪―下半田北組唐子車堂山の支輪には塗りで絵が画かれています。
・ 塗彫刻支輪―亀崎中切組力神車に代表される塗の山車に見られる彫刻支輪に塗りが施された物です。
・ 白木彫刻支輪―知多のほとんどの山車がこれです。多くは透かし彫が施された支輪です。
主に斗形構造の部分に見られる支輪ですが斗形の構造によって様々です。
・ 一段支輪―主に知多型前山・上山・壇箱などがこの造りです。一枚の支輪によって装飾されます。
・ 二段支輪―主に知多型堂山がこの造りです。上下二枚の支輪によって装飾されます。上下図柄も異なります。
・ 支輪、皿天仕様―主に知多型堂山がこの造りです。二段支輪に似ていますが支輪一枚と皿天一枚によって構成されます。皿天とは支輪によく似た構造材ですが高さが異なる平行材に渡される支輪とは異なり、高さが同じ平行材に渡される構造材です。
 特殊なものには内海岡部の山車の堂山は重厚な斗形がなく、広く全体が支輪で装飾されています。
こうした構造の支輪がありますが、山車ごとに統一されていません。支輪は斗形と係わり深い構造材です。そのため斗形を段を増やして高さを上げるなどの改造をした場合、平行材の空間が変わり、新たに支輪を変えた山車もあります。
 名古屋形山車(常滑大野町高須賀唐子車など)の前壇などや太田黒口の堂山など横に張り出した部分に斜めの構造材を付けている物があり、書籍によってはこの部分を支輪と記したものも有りますが、厳密に構造上は支輪ではありません。
支輪は平行材といった枠を裏から埋めるものですが、これらは骨組みに外から付けた構造です。

先ほどのページに戻ります   [尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][支輪]