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日本酒の銘柄でもおなじみの「松竹梅」。松・竹・梅の三種の樹木を合わせたもので、古くから画材として描かれてきました。この松竹梅、山車装飾にも取り入れられ、様々な部分を飾っています。 今回は、松竹梅についてご紹介しましょう。この三種、中国では「厳寒の三友」と呼ばれ尊ばれ、画材に取り入れられてきました。厳寒つまりは寒い冬の時期でも彩りが良い樹木ということです。
日本でも新年を寿ぐ飾りとして門松がありますが、松は神が降臨する依り代としての意味があり神聖視されてきました。(長寿の意味では山車彫刻の高砂にも松や竹が彫られています。但しここでは梅はありません。) 竹も松と同じく冬でも緑を保ち、雪の重みに耐え、丈夫で力強さがあり、無事を表してきました。日本では現在の門松にも見られるように、竹が加えられています。 また、神事には忌竹と呼ばれる竹を四方に立てて注連縄を張ります。 梅はまだ寒い冬の時期に花をつけ、その鮮やかさから加えられました。 また、日本家屋を飾る欄間彫刻としての松竹梅は、松は品位を表し、主人を表す。梅は優雅を表し、奥さんを表す。竹は気骨を表し、子供を表すとされ、家庭円満、平穏無事を祈るものといわれ良く用いる題材のようです。 山車装飾では花鳥(松に鷹や竹に雀など)として松・竹・梅の単独での題材は多く見られますが、松竹梅としてまとまったものは、あまり見られません、祭吉が把握している範囲でご紹介しましょう。 常滑・市場壇箱正面蟇股 壇箱正面蟇股の三箇所に「松に鷹」「梅に鶯」「竹に雀」が彫られています。 (ちなみに両脇は壇箱「桃太郎鬼退治」にちなみ柴刈り爺と洗濯婆です。) 蹴込みは「恵比寿・大黒の舞」ですが、その背景は松竹梅が彫られています。 常滑・市場壇箱猫足部飾金具 正面・両角の三箇所に松竹梅の金具で飾られています。 常滑・瀬木堂山装飾 常滑・北条堂山装飾 水引幕は「梅に鶯」その上の堂山蟇股は「松に鷹」(但し、後面は飛龍)、その上部の堂山支輪は「竹に雀」と瀬木と同様に堂山廻りを上手く松竹梅でまとめています。 堂山装飾の松竹梅は同一部分でなく、偶然かもしれません。瀬木に至っては昭和24年の改修時に竹文様の八枚虹梁と堂山支輪「梅に鶯」は初代彫常が彫っています。珍しい竹文様の八枚虹梁から考えても、上半田南組より複製して元来あった水引幕「松に鷹」に八枚虹梁の「竹」と堂山支輪の「梅」を入れることにより、初代彫常が松竹梅としてまとめたと、考えることができると思うのです。北条は二代目彫常です。(但し、こちらは後面の飛龍がひっかかりますが・・・。)初代彫常・二代目彫常が他界した今となっては、その意図があったのか、無かったのかは、わかりません。いずれにしても、彫刻を含め山車装飾の奥深さを感じずにはいられません。 |
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