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懸魚と同じように破風板の両脇に付く装飾を桁隠し(けたかくし)と呼びます。堂宮建築では脇懸魚(わきげぎょ)、或いは降懸魚(くだりげぎょ)とか呼びますから懸魚の一種です。この場合中央のものを拝懸魚(おがみげぎょ)、或いは本懸魚(おもげぎょ)と呼ぶようです。桁隠しの名称は、屋根の垂木を並べる桁の木口を覆い隠すように付けられることから来ています。 知多型山車を正面から見上げると目に入るのが懸魚の彫刻。壇箱、脇障子と並ぶ山車の代表的な装飾といえ、下半田中組の祝鳩車などは前山懸魚の「昇鳩降鳩」から山車名を取っていることからも伺い知ることが出来ます。 懸魚と桁隠しは統一した題材(懸魚・鳳凰と桁隠し・雲や懸魚・雷神と桁隠し・雷獣など)で彫られますが、桁隠しは無い山車も多く、脇懸魚ともいうことからも懸魚の脇を飾る補足的な装飾とも言えます。 さて、知多型山車では古式の山車では懸魚の名前の由来となった魚のような懸魚でした。南知多町内海吹越の山車などがそうです。(唐破風の場合はあまり魚のようには見えませんが)次第に彫刻が施されますが当初は鳳凰が定番だった様です。神社の社殿や神棚の懸魚なども同じことがいえます。前山蟇股に龍を置き、鳳凰と龍で瑞祥を表す霊獣を施した山車が多くあります。高山の屋台の棟に鳳凰飾りが多いのと同じ発想ではないかと思います。次第に鶴や鳩などが彫られ、仙人と言った人物を絡めた題材が彫られる様になりました。 懸魚の題材の特徴としてはほとんどが鳥類であるということがいえます。多くの彫刻は、はめ込んであり下の部分がありますが懸魚の構造的特徴は破風に釣り上げられていて、中に浮かんでいる様に見えます。そうした、構造的な特徴を生かして鳥類、空に関する題材が多く選ばれたと思います。松の枝、鷹の子育て(長尾上げ宮本車)なども同様の趣向であると思います。これは祭吉の見解です。 |
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