碧南鶴ヶ崎「宮本車」上山鬼板 |
同上 前壇置物 |
宝珠「ほうじゅ」とは宝とすべき玉の意味で山車彫刻では宝尽くしの中に見られます。宝珠を用いた山車装飾の最たるものは、亀崎東組の大幕でしょう。大幕一面に宝珠が金糸で刺繍されています。これは旧車を飾っていた大幕を模した物で、現在碧南の鶴ヶ崎に残されています。これは墨書き状に画かれた白色の宝珠が画かれていました。鶴ヶ崎にある宮本車の旧車は玉車と呼ばれるのもこの宝珠が由縁です。この玉車には大幕だけでなく、前壇の置物、上山鬼板など随所に宝珠が施されています。
また、多くの山車で見られる擬宝珠高欄「ぎぼしこうらん」の飾り金具も宝珠を模したものです。宝珠は悪を去り、濁水を澄ませる徳があるといわれます。また、一説には竜族の王である竜王の脳内から出た玉ともいわれ、願うことが何でもかなうとされ
犬山余坂「宝袋」擬宝珠 |
ることから如意宝珠とも呼ばれます。(そういえば以前あったアニメ「ドラゴンボール」の玉がそうですね。(笑)
亀崎東組「宮本車」大幕 |
更に詳しく紹介しますと、宮本車などに描かれている宝珠の図柄は「チ」と発音する梵字で除障招福を意味しているとされ、その構成は生長育の意味を持つ「タ」の字を三つ重ねた「タ」の字の上部に除障を意味する「イ」の字の点書「イ」を五箇所に付けています。
こうした梵語で構成される宝珠は誠心の願いは何でもかなえられるといわれています。梵字はインドの古代語サンスクリット語を表記する文字で、日本ではお寺のお札などに見られます。山車祭は神社(神道)の祭のものですが、こうした仏教の影響の宝珠は神仏習合の名残といえるでしょう。 |