[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][脇格子]

第117回 脇格子


脇格子 成岩西組「神車」
 脇格子とは山車の堂山の柱と柱の間にはめられる格子をいいます。主に山車の側面につけられることから脇格子と呼ばれる様です。単に格子と呼ぶ場合もあります。知多型では側面と後方、名古屋型では側面と前後に付きます。
 この脇格子、構造上では山車の堂山の骨組みである堂山柱の間の空間に埋める様にはめられ、堂山を補強します。いわば筋交いの役目をします。一部の山車(大谷など)では堂山柱に対し斜めにはめられる筋交い材がある山車もありますが、ほとんどの山車にはありません。
 幕を付けていない山車の状態を空木立ちといいますが大雑把に組まれた堂山に嵌められた細かく組まれた脇格子は美しさを感じさせ山車を重厚なものにします。

知多型 亀崎中切組「力神車」

名古屋型 「筒井町神皇車」
 また、この脇格子、大幕の保護の役目もあると思います。脇格子をつけることにより堂山骨組み面は平面になります。一部、脇格子がない山車は強風が山車の側面から吹いたとき堂山柱の間へ幕が押されてその部分が伸びてしまう傾向がありますが。脇格子がある場合は風に押されても平面なので部分的に伸びることもありません。
これは脇格子が大幕の部分だけにつけられている点からも伺えます。

水引部分 亀崎田中組「神楽車」

 知多型の水引幕部分には格子がありません。これは、水引幕は大幕より面積も少なく、刺繍などの装飾により厚く丈夫です。それに対し大幕は面積が広い分伸びやすいといえます。
 そうした幕の保護の面では板を張った方がよいかも知れませんが格子状なのは通気性を良くするためでしょう。乙川の山車は後方の格子には板が張られていますが、これは坂上げ(乙川祭の項参照)の時一番梶を取らせまいとする若い衆が格子につかまるのを防ぐための物です。妨害が多いと梶取りも大変ですから。逆に山車の堂山内部を上がって上山に上がる時、脇格子はつかみやすく昇るのに非常に便利です。そうした役目でつくられた物ではないとは思いますが。

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