[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][彫刻の題材〜馬師皇と龍]

第108回 彫刻の題材〜馬師皇と龍

馬師皇
 馬師皇は知多型山車の堂山蟇股八面に彫られる八仙人の一人です。成岩南組南車の壇箱には単独で彫られ、その代表格といえるでしょう。
 馬師皇は黄帝(中国神代伝説の皇帝)の頃の馬医者でした。馬師皇の名もここから来ています。馬の体質から寿命を人目で見とおすと言う優れもので、馬師皇が手掛けた馬で病気が治らないものはなかったといわれます。
 その名声が龍の世界まで届き、ある時、一頭の龍が馬師皇の前に下りてきて、口を開き治療を乞う素振りをしました。馬師皇は龍の下唇に鍼を打ち、甘草を煎じて飲ましてやりました。龍の病はまもなく治ったということです。この龍はそれからも病気になると治してもらいに来たともいわれ、他の龍達も伝え聞き、ぞろぞろと皆でやって来たともいわれます。その後、馬師皇は龍の背中に乗って天に昇って行ったということです。
 馬師皇が龍と対峙して彫られているのは龍を治療した逸話によるものです。山車彫刻で見られる馬師皇はちょうど龍を治療する場面で、手に鍼を持った馬師皇がまさに龍に打たんとしています。成岩南組南車の壇箱の側面には馬医者であった事を表すためでしょうか、馬も彫られています。

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