[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座]−[彫刻の題材〜配置と奥深さ] |
山車彫刻の多くの題材は同一場面を画いたものがほとんどです。しかし、まれに別々の場面を絡めて画いた物があり、一見すると共通項が見出せない物もあります。 その代表例として半田岩滑義烈組「八幡車」の壇箱が上げられます。流れの彫師といわれる出羽看龍の作で、その作風は特徴的なものとなっています。 さて、その壇箱の図柄ですが正面中央に大黒さんと弁天さん。そして、左右両脇には和藤内と仁田四郎が夫々配されています。大黒さんと弁天さんは七福神の内の二人で福の神ですね。和藤内といえば浄瑠璃「国性爺合戦」の主人公で中国明代の人物鄭成功(1624〜1662)です。仁田四郎は鎌倉初期の武将で仁田忠常(〜1203)といい(四郎は俗称)富士の巻狩では曾我兄弟の仇討ちの際、曾我十郎祐成を討ちとったことで有名です。これらを見ると福の神と年代が異なる史実上の人物です。 これらだけを見ると何とも不可解な組み合わせです。更に壇箱の側面を見ると向って右側には龍、猿を乗せた馬、そして兎が見えます。左側には鶏、人物を乗せた牛、そして羊が見て取れます。これらは十二支の動物ですね。十二支をベースに見ると正面の組み合わせも理解できてきます。和藤内は虎と仁田四郎は猪にまたがっています。別講座「吉祥鼠」で紹介しましたが大黒さんは鼠と係わりがあります。弁天さんは蛇ですね。夫々足元に彫 |
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