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しかし、古くは様々な理由から鼠はおめでたい動物とされることもありました。山車彫刻でも単独で見られるのはそのためです。不吉な前兆を知らせる動物とされたのもその理由の一つです。(鼠だけに限りませんが動物は人間より敏感で地震の前など予知して騒ぐ習性があるようです。) また、鼠算の言葉もあるように多産であることからも吉祥の動物とされました。(子供をたくさん産むことで安産、子宝に通ずるということです。) 神話では大国主命(大黒様)を助けたことで、福の神の使いとも見なされました。
参考までに神話に画かれた大国主命と鼠のお話を紹介しておきましょう。大国様は出雲大社の主祭神で因幡の白兎の話にも登場します。大変美形の神様でたくさんいた兄弟神(総称して八十神といいます。)からうとまれいじめられていました。それを察した母神は須佐之男尊(すさのおのみこと)のいる根の堅州国(出雲国)に行くように勧めます。 出雲に行った大国様は美形ですから須佐之男尊の娘須勢理比売命(すせりひめのみこと)と 感心した須佐之男尊ですが更に難しい課題を与えます。広い野原に鏑矢を打ち込んで「取ってこい」と命じ、大国様が鏑矢を探しに行ったところで四方から火をつけます。火に囲まれた大国様はもはやこれまでと覚悟をきめると、一匹の鼠があらわれ、「内は洞洞、外はスブスブ(内側は空洞、外側はすぼんでいる)」と言います。 大国様は地面を踏み込むと大きな穴が空きました。その穴に入って火から逃れました。そこへ鼠が鏑矢を加えてきました。こうしたことが大国様と鼠の繋がりです。 後に大国様は須勢理比売命とめでたく結婚します。ちなみに七福神の大黒様は元々インドの神様ですが日本では大国様と混同して信仰されるようになりました。表題の「吉祥鼠」は鼠の彫刻の総称を意味する祭吉の命名です。彫常の猫足彫刻は「鼠の宝引き」です。 |
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