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さて、この蜃気楼、字を見ますと、蜃(おおはまぐり)気(き)楼(ろう)と書くように、古くこうした現象は蜃(おおはまぐり)が気を吐いて楼閣を画くと考えたことに由来します。海上でも見られる現象ですから、これは蜃(おおはまぐり)の仕業と考えられていたということです。 さて、この蜃気楼は彫刻の題材として取り入れられています。「ハマグリの夢見」とも呼ばれ、河和中組「中車」の壇箱や碧南鶴ヶ崎「玉車」の脇障子に見られます。大ハマグリが口を開け、そこからは気が出ており、その先には楼閣が画かれています。まさに蜃気楼の字の如くの図柄です。河和中組「中車」の山車は乙川南山の旧車、碧南鶴ヶ崎「玉車」は亀崎宮本組の旧車です。双方とも金塗彫刻です。乙川、亀崎共に古くから山車祭が行われていた地域で、双方に見られる題材ですから、古く持ち入れられた題材のようです。現在、多くの素木彫刻の山車では見られない珍しい題材です。 *河和中組「中車」は壇箱の題材「蜃気楼」の大ハマグリが汐を吹いているように見られることから「汐吹車」の名称もあるようです。 注・これらの題材で「竜宮城」との説明がしてある書籍がありますがこれは誤りです。まあ、ハマグリ(海の中)で楼閣が画かれたいたら、ピンとくるのは確かに「竜宮城」でしょうけど。(笑) |
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