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知多型、名古屋型の山車は上山が上下に昇降する仕組みになっています。特に知多型の上山は重厚で相当な重量と予想されます。以前、8人位で担いだことがありますが腰がおかしくなったことを記憶しています。山車の上山の迫り上げにはてこと滑車が使われた仕組みになっており、非常に少ない力で上げることが出来る工夫がされています。(古い山車などこうしたせり上げ構造がない山車もあります。) それでは、上山のせり上げの構造を詳しく紹介しましょう。先ずはせり上げ構造の部品です。知多型を例に上半田北組に残る山車新調に伴う設計仕様書(『半田市誌―祭礼民俗編―』ヨリ)から上山のせり上げ構造部品を拾い上げると次のようになります。 【右の図から名称をクリックして下さい.詳細説明をご覧いただけます】 上山の昇降は,綱を引くことにより迫り上輪が回転します。その際径の差のため減速されて同軸上の真棒に回転力が伝わります。 一方横デッキリ,迫り上げ筒を通った綱は,この真棒に巻きあげられる事により,立飛を押し上げられる事となり上山が上昇します。 名古屋型も原理は同じですが、知多型の様に台輪部ではなく、中段に真棒、迫り上輪が付けられます。 |
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・上山の高さの固定 | |||||
名古屋型の一部にはせり上輪に歯車が付けられ、歯車にストッパーがつくことによって固定できるものもあります。こうした構造はせり上げ中に上山が下がるのを防ぐ働きもします。 |
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・上山をせり上げる力量 | |||||
上山のせり上げ構造は滑車と梃子の原理によって少ない力で上げることが出来る仕組みになっています。それではどれほど少ない力で上げられるか検証してみましょう。先ずせり上げ筒と内部の滑車によって過重は2分の1になります。ここまではどこの山車も同様です。あとはせり上げ輪と真棒の関係です。常滑瀬木世楽車の例で見ますと凡そせり上げ輪と真棒の円周は175cmと15cmですから、直径は55cmと5cmとなり半径は27.5cmと2.5cmです。上げ筒と内部の滑車の分(滑車の理論)がありますから、その半分の凡そ22分の1の力量で上げることが出来ることになります。100kgの上山でしたら4.5kgの力量ですね。
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*備考 この計算はあくまでも力学上で摩擦係数は含まれていません。実際はその分が加わりもう少し重くなります。 |
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