[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座]−[板洗いと山下ろし] |
山車祭の終了後、各山車組では慰労会が行われます。山車祭を行うには大変な準備期間を経て、多くの人手を要します。山車祭が無事終了し、その苦労をねぎらうのが慰労会で、その年度の祭の役員から次年度への引継ぎが行われるところもあります。知多ではそうした慰労会を「板洗い(いたあらい)」とか「山下ろし」とか呼びます。(注・調査投稿からでは別の言い方もあるようです。)名古屋では山下ろしと呼ぶことが多いようです。 慰労会の意味だけではありませんが神社での祭の後の宴会を「直会(なおらい)」と呼びます。この直会は祭という神聖な時から日常の生活へ戻る節目としての意味で直り会うから来ているといわれます。また、祭で神様へのお供え物を下げてきて頂くことから神様のお力を頂く意味もあります。 さて知多でいう板洗いと山下ろしについて語源を考えてみましょう。「山下ろし」は山車の組み上げ等の祭準備を「山上げ」と呼ぶことから、それに対する山車の解体等の後片付けを「山下ろし」と呼ぶようです。そして祭の後の慰労会も山下ろしと呼ぶようになったのではないかと思われます。 次ぎに「板洗い」ですがこれは語源がよくわかりません。他地域ではどのように呼ばれるかインターネットを通じて調査がてらに質問、投稿をお願いしましたところ、全国各地沢山の方々から投稿を頂きました。先ずはこれらを紹介したいと思います。(今回は講座のための初のこころみです。) |
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などがインターネットを通じて収集できました情報です。島根県の「のぼりたおし」も片付けの言葉ですね。知多でも「幟立て」といった神社の前に幟を飾る行事もあります。こうして見ると祭の後片付けが慰労会の名称になっていったようです。さて知多の「板洗い」について考えてみましょう。 板洗いの板について よく似たものに九州の「板敷払い」があります。広辞苑では板、板敷とは舞台の意味とあります。知多の山車祭でも獅子舞や巫女舞の為に仮設の舞台を設ける地区がありますが、こうした舞台を意味するのが板ではないかと思います。舞台(板、板敷)を片付けるから板洗いになったのではないかと推察されます。また、大阪の「花板はずし」「花板おろし」「花板ばらし」も板が出てきます。この花板は寄付を掲示する板ということです。(芸子さんへの祝儀を花代とかいいますね。)知多では寄付を書いた紙を「海老紙(えびがみ)」とかいいますが。こうした掲示板も知多の山車祭でも見られます。この掲示板の板を片付ける意味から板洗いとなった可能性もあります。これらの二説が考えられます。 板洗いの洗いについて よく似たものに「おけあらい」「はちあらい」が洗いの言葉です。片付けの前に洗って綺麗にしたことが考えられます。払いも同様にほこりを払ったとか砂はたきも砂をはたいて払ったと同様の意味合いです。小鈴谷、坂井は板洗いで地域的に接する上野間は板払いです。坂井などは上野間の枝郷として形成された集落ですから上野間の方を大本と考えると払いが洗いになったのではないかと推察できます。 こうしてみると祭後の片付けの呼び方がそのまま片付けの後に続く慰労会の呼び方になっていったようです。「らくさく」と「カサ抜き」「ごしんどう」等についてはわかりません。この項は知多が主体ですので参考までに留め、語義については省略させて頂きました。語源、語義などご存知の方いらっしゃいましたら祭吉までメールでお教え下さい。 今回の講座はインターネットを通じて各地の方々よりのご意見、投稿が大変参考になりました。厚く御礼申し上げます。いやー。これで論文でも書いて博士号でももらおうかな?じょうだんです。(笑)今後もこうした形で皆さんに協力して頂き、山車祭講座を進めていけたらと思っています。 落書きノート・わいわい掲示版に祭吉からの質問がありましたら、どうぞご遠慮なくご投稿下さい。*慰労会名称に関する調査は継続中です。平成12年3月23日現在で北は青森県から南は熊本県まで130件の解答を頂いております。本当に慰労会の名称だけでも全国には実に様々なものがあるのですねー。びっくりしました。今後、集りました情報を祭吉なりに分析研究し、まとまりまりましたら。掲載する予定です。お楽しみに! |
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