[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][七福神]

第77回 彫刻の題材〜七福神

亀崎田中組「神楽車」堂山蟇股
 一般的な七福神は「恵比寿」「大黒」「毘沙門天」「弁財天」「布袋和尚」「福禄寿」「寿老人」の七人の福の神によって構成されています。まれに寿老人が吉祥天に代わり女性が二人になる場合もあります。 古くは現在のように一定してなく猩々鍾馗も入れられたこともあったようです。
 山車彫刻としての七福神は一般的なものと同様です。七の数が当てられたのは「七難七福」という仏教経典の文句に由縁するといわれます。中国道教に日本の七福神によく似た「八仙人」がありますが逸話ではこの八仙人が日本に来て七福神になったとされます。
 八仙人渡海図といった八仙人が舟に乗って海を渡る姿が絵に描かれたりしますが、日本でいう宝船に乗った七福神といったところでしょうか。一人少ないのは李鉄拐仙人が良い体を探しに中国にとどまったからといわれます。(この鉄拐の逸話は後日) 鍾馗が入る七福神には唐子が二人いたとされ、山車彫刻に見られる八福神の唐子に通じるものもあると考られます。
名古屋中村区二福神車
 七福神の中でも特に「恵比寿」「大黒」は「二福神」といわれ対で商売繁盛の信仰対象とされることが多いです。神棚に夫々の神像を祀ったり、熊手に付けられる二福神の面などがその例です。山車からくりでも恵比寿・大黒の二福神は多く作られ、山車の名称ともなっています。多くのからくりは恵比寿が鯛を釣り、大黒が打出の小槌で前に置かれた宝袋を打つと袋が割れて宝船が出てくるという趣向です。知多型山車彫刻においても脇障子、前山蟇股など二つの空間にはよく入れられる題材です。
 七福神の山車彫刻では壇箱、前山蟇股、堂山蟇股などに見られる。堂山蟇股は左右に三面づつ、後ろに二面で計八面になりますが、八仙人では具合いが良いですが七福神では一面余ってきます。その残り一面に唐子を入れて八福神とした亀崎田中組の神楽車や宝船を入れた下半田東組山王車などがあります。各福神の解説は随時していきます。
上半田南組「福神車」 板山・本板山組「本子車」 常滑市小鈴谷「白山車」

先ほどのページに戻ります   [尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][七福神]