[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][彫刻の題材〜仙人]

第72回 彫刻の題材〜仙人

・山車彫刻の仙人
 知多型山車には壇箱を始め脇障子、蟇股、懸魚と多くの部分に仙人が彫られています。武豊東大高の知里付車は塗りの彫刻で「黄石公」と「張子房」が彫られています。このことからも山車彫刻の題材として古くから取り入れられていたようです。現在の白木の物は立川と彫常によるものです。立川は北斎漫画から多くの題材を参考にしていますが、北斎漫画には数々の仙人が描かれており、これを参考に数々の仙人を山車彫刻にして行ったようです。後に彫常にも受け継がれていきました。
常滑市場字「常磐車」前山懸魚『鳳凰』
亀崎中切組「力神車」前山懸魚『梅福仙人』
・懸魚の仙人
 仙人は動物と一緒に描かれることがあります。空を飛んだり、水上を歩いたりといった術を動物を操ってするためです。懸魚彫刻でも鳳凰、龍、鶴といった動物に乗った仙人が彫られています。元々、懸魚は横長で鳳凰、鶴、龍といった花鳥が多く彫られていました。これらの動物に仙人が乗った構図は元来あった花鳥に仙人を組み合わせ発達させた構図と考えられます。立川の技量でしょうか。以前、講座「彫刻の題材」で紹介した、題材の変遷(植物、花鳥、人物へと変遷)が見て取れます。
・主な仙人彫刻
亀崎中切組力神車
西成岩彦洲組「日之出車」脇障子『黄初平』
岩滑新田平井組神明車『鹿追仙人』
下半田東組「「山王車」大幕『琴高仙人』
  脇障子「黄石公」「張子房」,前山懸魚「梅福仙人」
亀崎田中組神楽車
前山懸魚「太真王文人」,壇箱「蝦蟇仙人」「鉄拐仙人」
岩滑義烈組八幡車
前山蟇股「蝦蟇仙人」「鉄拐仙人」
岩滑西組御福車
脇障子「黄石公」「張良」
岩滑新田平井組神明車
前山懸魚「鳳凰仙人」,前山蟇股「鹿追仙人」
下半田東組山王車
壇箱「王処仙人隠栖」,前山蟇股「馬師皇」「蝦蟇仙人」,大幕「琴高仙人」「慮倣仙人」「張子房」
下半田南組護王車
前山懸魚「王子喬」
成岩南組南車
壇箱「馬獅王(羅真仙人)」
成岩東組旭車
脇障子「蝦蟇仙人」「鉄拐仙人」
西成岩彦洲組日之出車
脇障子「黄初平」
常滑大谷浜条蓬莱車
前山懸魚「王子喬」,堂山蟇股右前「蝦蟇仙人」,左前「控鶴仙人」,右中「張果(通玄仙人)」,左中「黄初平」,右後「鉄拐仙人」,左後「馬師皇」,後右「西王母」,後左「東方朔」
など
個々の仙人の逸話、解説は随時「彫刻の題材」として紹介していきます。

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