[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][山車の改修〜宵宮の山車]

第58回 宵宮の山車

名古屋市「広井神明社祭」
 山車は祭りにおいて様々に飾り付けられます。日も沈み、夕闇が訪れ、宵宮となります。宵宮とは山車祭り中でも夜のお祭りです。宵宮に山車は沢山の提灯で飾り付けがされます。日中は太陽の光に照らされた、大幕、水引、彫刻などの装飾が山車の姿ですが、宵宮で沢山の提灯で飾られた山車は火の光による姿です。
 日中、山車を飾る彫刻を外したり、幕を古いものや、刺繍の無い簡素なものに代えたりする山車も多く見うけられます。暗くては素晴らしい彫刻や綺麗な幕の刺繍もみられませんからね。また、大切に保存する意味もあります。暗くてはよく見られませんから、引っ掛けて損傷するのを防ぐためです。
夕闇に浮かび上がった提灯に飾られた山車が曳かれる宵宮は実に幻想的で提灯の中で揺れるロウソクの明かりは情緒深いものがあります。正に光の祭典です。電気を使用する所もありますがロウソクの自然な火の明かりにはかないません。どことなくネオンの明かりのようです。
長尾市場組「神宮車」
 山車への提灯の飾り付け方は実に様々です。提灯を付けた竹を山車にさしたり、武豊長尾部市場組などは山車の側面に「市」の字になるよう並べていて面白いですね。多くの地区は山車の左右前後、全面を提灯で覆います。凡そ200個ですが、本来は365個といわれ、これは一年の日数ですね。
巻藁舟(ちんとろ祭など)の提灯飾りにも通じ、
東海市「本町組」
一年の無病息災の祈りが込められていると思います。
 下半田では神事として提灯に火を灯す時には赤法被が拝殿に揃い神主から献灯の火を種火として弓張提灯(単独で手に持つ提灯)にもらい、山車の提灯に灯して行くそうです。順序も北、中、東、南とのことです。こうした神様からの火(御神火ともいいます。)は神様からお力を頂く意味もあると思います。神社に参拝しご祈祷を受けたあと直会としてお神酒の一献を頂きます。ここでは火を頂きますが、神様に一度上げたものを下げて頂くということは御神徳といって神様のお陰、お力を頂く意味があるからです。
 一つでは暗い提灯の明かりも、沢山の提灯で飾られた山車では明るく、非常に幻想的で綺麗です。これも祓いの意味があると思います。色覚による祓いですね。綺麗な提灯の明かりを眺めていると疲れた心も祓われ、残された山車の曳き廻しも頑張ろうと思いますね。
宵宮には山車は日中とはまた違った姿を見せてくれます。
市場組の画像は武豊町長尾部市場組石川様より提供いただきました.

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