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第51回 彫刻題材の検証〜岩滑新田・神明車の脇障子

須佐之男命(猿田彦命) 稲田姫(天之宇受売命)
 山車彫刻は様々な題材が彫られているわけですが、全ての彫刻に題材が記載されているわけではなく、彫刻から題材を導きだされ書物に記載されることが多いようです。
 今回は彫刻から題材を導き出してみたいと思います。ここでは半田岩滑新田平井組神明車の脇障子の彫刻を例に上げて見て行きたいと思います。多くの書物に平井組の脇障子は「須佐之男命(すさのおのみこと)、稲田姫(いなだひめ)」とされています。しかし、この題材は「天孫降臨(てんそんこうりん)」なんですね。左手の須佐之男命とされるのが猿田彦命(さるたひこのみこと)です。右手の稲田姫とされるのが天之宇受売命(あめのうずめのみこと)ですね。
 その根拠を説明します。『猿田彦命は身長すこぶる高く、顔赤くして、鼻高く、眼は大きくその輝くさまはほおづきの如く』であったとされます。また、天之宇受売命が猿田彦命に接した時は乳房を露出し、かなり扇情的な姿態で相対したと神話には記されています。彫刻の天之宇受売命も乳房を露出していますね。天之岩戸の天之宇受売命と比べて見ると大変感じが似ています。また天之宇受売命の後方に八人の神々が彫られていますが天孫瓊瓊杵尊(てんそんににぎのみこと)の降臨に付き従った神々ですね。
 もし、須佐之男命、稲田姫の神話として見ると、これほどの人数の登場はありません。こうしたことから、この題材を天孫降臨と見るのです。これは祭吉独自の見解ですがいかがでしょうか。今回は彫刻の題材の検証について書きましたが、天孫降臨の神話の詳細は次回に紹介します。

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