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山車で演奏される囃子は時代と共に親から子そして孫へと受け継がれ伝承されます。後継者の減少などの問題からテープで演奏している山車はさびしく感じますね。近年、CDに囃子を記録する試みも行われています。(上半田南組、常滑北条、常滑市場など) 昔はテープレコーダーやCDという記録装置もありませんでしたから、囃子の伝承は聞いて覚え伝えていくといったものだったようです。 また、多くの囃子は能楽が基調で、当然、和楽です。洋楽のような五線譜もありませんし、指揮者もいません。譜面も囃子のメロディを仮名に置き換えただけの囃子詞「はやしことば」といわれるものがあるだけです。洋楽のようにリズム、テンポなどが詳しく記録されていないため、聞き習い伝えでした。すべての囃子に囃子詞の譜面があるわけでなく、今でも聞き覚えで伝承されている所が多いようです。 そうしたことから、長い年月と共に調子も変化してきたでしょうし、元が同じ囃子でも各地に伝わり、山車の曳き廻しに応じて変化したこともあったようですから、各山車組み夫々の囃子ができていったようです。囃子の譜面である囃子詞の一つを紹介しましょう。常滑瀬木字の「攻め」です。
まず、この囃子詞を口で歌って覚えます。こうして先ず曲全体を覚えるわけです。そして囃子詞に合わせて指使いを覚えるわけです。こうしたことで熟練者が演奏している前で習得者は口で歌いながら曲を覚え、眼で指使いを覚え、耳で調子を覚えるわけです。口、眼、耳といった具合で頭で覚えるのではなく、体で覚えるといった具合ですね。 現在でこそ練習日も設けられて行われていますが、昔は祭り当日だけの本当に聞き覚えだったようです。こうして、囃子は伝承されていくのです。ここでは、常滑瀬木字の例を元に紹介しましたが、各山車組でもおおよそはこうした具合ではないでしょうか。 |
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