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第30回 からくり人形浄瑠璃山車〜上野間と坂井

 浄瑠璃とは音曲にあわせて物語を語るものです。分かりやすくいえば、例えば琵琶法師。琵琶を奏でながら平家物語を語る。耳なし芳一なんて昔話がありましたね。からくり人形浄瑠璃とは浄瑠璃にあわせてからくり人形で芝居を演じるというものです。文楽によく似ていますが文楽人形はあやつり人形でからくり(機械仕掛け)の人形ではないことが異なります。
 常滑市と美浜町の境の上野間と坂井にはからくり人形浄瑠璃山車が三輌(上野間二輌・坂井一輌)残されています。こうしたからくりは知多半島では岡田、三河には知立にも同様のからくりが見られます。
 さて、このからくり人形浄瑠璃ですが山車の上山で演じられる点では他の山車からくりと同じですが多くの場合、からくりの妙技(逆立ち、倒立、面かぶり等)が中心の言うなれば単発芸です。からくり人形浄瑠璃は浄瑠璃に合わせて演じられ、その時間も一時間ちかくかかります。また山車の上山はもとより、大まわしと呼ばれる操作方で大変広い部分を使って演じられます。
 この大まわしというのは機関樋と呼ばれる樋の上を人形が行き来するのですが(下半田東・采振りや同中・蘭陵王も機関樋)この樋が上山を基点にぐるりと270度まわり広い空間でからくりを演じれるようになっています。(左右に二本の樋)
 上山正面に演目が書かれた額が突き出ていますがこれも一種の樋になっていて大将人形が上山後部から空中を渡ってくる装置です。一風変わったからくり人形浄瑠璃。語りも古語(古典に出てくる語り)で多少難解かもしれませんがどうぞ見に行ってください。
 坂井の隣の小鈴谷にも浄瑠璃ではないですが大まわしのからくり人形が残されています。これらの地域には独特の山車祭の分化が見られるようです。そうした点を次回もう少しお話したいと思います。

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