斗形(ますがた)とは持送りの一種でせり出した部分を支えます。斗組(ますぐみ)
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亀崎・力神車の前山斗形 |
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常滑・世楽車の古い斗形 |
とも呼ばれます。大工用語では、(ときょう)と
呼ばれます。『と』は(ます)『きょう』は(ひじき【肘木】)の組合せでできています。構造面でいえばちょうど柱の最上部につけられ横材を安定させて支えます。
解りやすく説明すると、人の体を柱に見立てます。横材を頭一点だけで支えると不安定ですね。これを両手を広げて頭と両手三点で支えると非常に安定します。頭と手のひらに当たるのが「斗」で腕に当たるのが「肘木」です。
山車の部分では知多型では壇箱、堂山上部、前山と上山四本柱上部に、名古屋型では上山四本柱上部に見られます。どちらかというと神社建築をよく取り入れた知多型に多く見られる構造部分と言えるでしょう。
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斗形のない名古屋型 |
横須賀・本町組 |
それでは、斗形の変遷についてお話しましょう。まず、名古屋型です。常滑の大野、小倉などの山車には斗形がありません。四本柱のすぐ上は屋根です。これに対し東海市尾張横須賀の山車には斗形があります。ないものに比べ、屋根に重厚感があり、虹梁も二重になり、斗形の間に蛙股といった彫刻も入ります。
屋根の部分では知多型でも同様のことがいえます。ないものは布土の平田の上山ぐらいでしょうか。他はほとんどあります。
知多型の斗形は名古屋型に比べ段数が多いです。そのため、蛙股部分が広く大きな彫刻が入れられます。特に段数が多いのは半田協和西組に山車の堂山の斗形です。ちょっとくどい気もしますが。知多型には壇箱にも斗形がありますが、これは壇箱の項で紹介します。
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