筒井町湯取車 名古屋東照宮「御社参曳行」について
名古屋市指定文化財 東区筒井町湯取車保存会
東区筒井町の湯取車は、万治元年(1658)に東照宮祭礼車として中区旧桑名町で造られ曳き出されていた古車を天保2年(1831)に、当時の情妙寺前(現在の東区筒井町四丁目)へ譲り受け現在にいたっており、毎年6月第1土・日曜日の例祭である「筒井町天王祭および徳川園山車揃」と10月に行われる「名古屋まつり・なごやかまつりひがし」に山車を曳き出しています。
東照宮祭は徳川家康を祀る東照宮の祭礼で、三の丸天王祭・若宮祭とともに、名古屋における三大祭の一つで、徳川家康の命日の4月17日に行われていました。東照宮祭には9輛の山車が参加し、初めて山車が曳かれるようになったのは、元和5年(1619)からで、9輛の山車が出揃ったのは、宝暦6年(1756)です。
これらの9輛は、名古屋を代表する山車で、多くの人々から親しまれた名物祭車で、東照宮から当時のメインストリートであった中区本町通りを通り、若宮八幡社の御旅所まで行く、名古屋城下町で繰り広げられた最大の行事でしたが、昭和20年(1945)の太平洋戦争ですべての山車(9輌)を焼失してしまいました。
しかし、東区筒井町の湯取車は、東照宮の祭礼で曳行されていた古車ではありますが、江戸時代からの東照宮祭の歴史を担う、現存する唯一の山車です。
今年、平成20年(2008)は、筒井町の湯取車が造られた万治元年(1658)から丁度350年の区切りの年で、当保存会では、これを記念し、平成20年5月25日(日)に名古屋東照宮への「御社参山車曳行」をする運びとなりました。
筒井町の湯取車が東照宮への曳行するのは、名古屋開府300年祭の明治43年(1910)以来98年振りとなります。
また、中区本町通りの曳行も第6回名古屋まつりの昭和35年(1960)以来48年振りであるとともに、今年は、東照宮の鎮座する中区と筒井町湯取取車の地元である東区の「区制100周年」、区切りの年でもあり、記念曳行にふさわしい「御社参山車曳行」となります。
5月25日(日)御社参曳行当日は、名古屋東照宮でのからくり奉納や、中区丸の内町内や本町通りの山車曳行を行います。
また、帰路には、東区の文化のみちの拠点である、東区橦木町の「文化のみち二葉館」に立ち寄り二葉館玄関前でのからくりの披露も行います。「文化のみち二葉館」の玄関には、開館以来、自動車などの車は入ったことがないそうで、湯取車が初めてとなり、大変光栄です。
この曳行に際して、多くの方にご覧いただければ、幸いかと存じます。