名古屋能楽堂 特別企画展

名古屋の山車祭り展

10-09-07更新
今年開府400年を迎えた名古屋、そして10月に開催が予定されている『大山車まつり』に恰好の企画展が開催されます.
名古屋の、そして尾張の山車のルーツともいえる東照宮祭をはじめ、名古屋の山車にまつわる貴重な絵画・資料が数多く展示されます.
今回初めて公開される資料や個人蔵の秘蔵品、また上海万博に出品された二分の一からくり山車「童子車」も展示されますので、是非ともお立ち寄り下さい.

<展示品の見どころ>
・上海万博出展「童子車」(展示日は下記)と、製作工程の品々
・名古屋三大祭りを、東照宮・天王社・若宮ごとにブース展示
・掛け軸・刷り物・陶器・郷土玩具まで、多彩な嗜好品の数々
・内屋敷・唐子車 山車模型の初披露
・個人秘蔵品

※童子車展示日(9月16日〜10月7日・10月18日〜11月4日)
・会期 平成22年9月7日(火)〜11月5日(金)
・時間 午前9時〜午後5時(最終日は午後3時まで)
・会場 名古屋能楽堂 名古屋市中区三の丸1丁目1の1
・入場料 無料
・主催 (財)名古屋市文化振興事業団(名古屋能楽堂)

パンフレット(表)PDF1.8MB パンフレット(裏)PDF1.7MB
『名古屋能楽堂 特別企画展 名古屋の山車祭り展について』パンフレットより抜粋

郷土英傑行列で知られる現在の名古屋まつりだが、これは戦後からのイベントに過ぎない。戦前は四月十七日の名古屋東照宮例祭をこそ名古屋まつりと云った。豪奢なからくり山車や行列を繰り出し、今の名古屋まつりなど比較にならぬ賑やかさであったが、戦災で山車や行粧のほとんどを失って衰えてしまった。東照宮例祭は元和四(1618)年に始まり、城下町の各町が山車、警固のにぎやかさを競い、七代藩主徳川宗春の享保年間(1716〜1735)、十代藩主齋朝の天保年間(1830〜1843)に頂点に達した。橋弁慶車(七間町)、林和靖車(伝馬町)、雷電車(和泉町)、二福神車(長者町)、湯取神子車(桑名町)、唐子車(宮町)、小鍛治車(京町)、石橋車(中市場町)、猩々車(本町)の九輛の山車は、明治四十三(1910)年の名古屋開府三百年の際し、名古屋の旧城下町から名古屋城内まで曳き出して大群衆の喝采を浴びた。

三之丸天王社(現在の那古野神社)の祭礼は車楽、近隣からの見舞車、そして神輿渡御、若宮八幡社の祭礼は特異な黒船車をはじめ七輛の山車が曳き出され、ともに六月十五、十六日と祭礼が同じであった。「東照宮祭」、「三之丸天王祭」そして「若宮祭」を、名古屋三大祭りと云った。

名古屋開府四百年の今年、十月十六日には『大山車まつり』が開催される。往時の東照宮祭を髣髴とさせる山車揃えは、さらに百年後の開府五百年に向けて伝統を繋ぐことであろう。ここでは残された絵画、工芸、資料などにより往時の山車を揃え、祭りを楽しんだ往時の泰平の世の人々と共に、名古屋の風流を味わっていただきたい。

(北島徹也)