海部郡蟹江町須成祭
水郷の町蟹江、須成祭は海部郡蟹江町須成地区の冨吉建早神社・八劔社の二社の例祭です.
500年の伝統を持つこの祭りは、牛頭天王(素盞鳴尊)に疫病退散を祈願するという天王信仰がもとになった川祭りです.
祭礼は、穢れを葭に託して流す御葭神事、提灯を点灯した巻藁船の宵祭、一夜明けた朝祭での納人形を飾った車楽船など、多彩な行事が7月初旬から3ヶ月にわたって続くことから「百日祭」ともいわれます.
これら一連の諸行事は国の選択文化財に指定されています.
宵祭には車楽船に提灯を半球状に飾った巻藁船が飾橋から天王橋まで蟹江川を遡り、また一夜明けた朝祭では装いをあらたに、能人形を飾り稚児を乗せた車楽船が再び蟹江川を往復します。
三つの橋
蟹江川に架かる飾橋、御葭橋、天王橋はいずれも祭礼にちなんだ橋名で、飾橋はここで車楽船を飾ったことから飾橋と呼ばれます.
また、御葭橋は往時このあたりに松があり流した御葭がよく引っかかったことから命名されたと伝えられます.
この御葭橋は行程の中間にある鉄橋で、背の高い車楽船はそのままでは橋をくぐる事が出来ません.それで橋の半分(右岸側)が跳ね上がるようになっています.
日常は地域民が行き来するこの橋は、年に2度須成祭の宵祭りと朝祭りの時にだけ可動するのです.祭りの為だけに設計された橋は全国でもここだけでしょうか.
また宵祭りではこの御葭橋あたりで花火を楽しむ事も出来ます.
巻藁船(まきわらぶね)
長さ約10mの漁船を改造した船を2艘つなぎ止め、屋形を乗せます.
宵祭りで飾られる提灯は高く伸びた如意竹に1年の月数をあらわす12張りの提灯(閏年は13張り)、1ヶ月の日数をあらわす30張りのホオズキ提灯、そして半球状に飾られた1年の日数をあらわす365張りの提灯(実際はその半分あまりとか)からなります.
この巻藁は宵祭りが終わった深夜0時から明け方にかけて朝祭りの車楽船に装いを変えます.
車楽船(だんじりぶね)
上段に高砂の能人形2体を飾ります.船に飾られた梅花・桜花は天王橋到着後に、枝を折って見物人に投げられます(投げ花行事).
この花を持って帰り家に飾ると、無病息災・雷除けの御利益があるといわれます.
冨吉建早神社・八劔社
蟹江川の天王橋のたもとに二社が並び、左が八劔社、右側に冨吉建早神社が鎮座し、天平5年(733)に行基の勧請で創建という古い由緒があります.いずれも国の重文に指定されています.
冨吉建早神社の祭神は素盞鳴尊)、八劔社の祭神は熱田五神(天照大神、日本武尊、宮簀姫命、建稲種命、素盞鳴尊)
宵祭 |
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御葭橋では仕掛け花火が見られます |
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朝祭 |
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天王橋 |
高砂人形 |
投げ花です |