室町時代から語り継がれ、誰からも親しまれてきた御伽噺です。
浦島太郎が亀に乗って進んでいくと、行く手に大貝が現れ、2つに割れると中からまばゆいばかりの乙姫が出て、波間を渡り浦島に玉手箱を手渡して、また貝の中に姿を消します。
玉手箱を開けると白煙が立ちのばり、浦島太郎はたちまち白髪の翁となってしまう哀しい物語りです。
糸のみで操作するからくり人形の最も難しく、また見せ場でもあるのは、乙姫が浦島太郎に玉手箱を渡すくだりです。2体とも玉手箱を止める金具など付いていないため、失敗のないように受け渡す操作がからくる者の最も緊張する時でもあります。
また、玉手箱を開けると煙と共に白髪の翁に顔が変わる「面かぶり」の早わざも難しく、一瞬に翁となった浦島太郎が身を振り嘆く場面は折から嘲子も哀調を帯びた調べに変わり、哀感を誘います。
大正6年 玉屋庄兵衛 |
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