尾張の山車まつりへ [横須賀まつり訪問記]−[17]


〜第17回〜
最初に小僧の関心を引いたのは『横須賀』といふ地名だつた。『横須賀』といふ地名に何か謂れがあるのか無いのか、まづ、その地名の由來から調べた。
地名辞典を引くと、『横須賀』の項に三つの町が記されてゐた。三浦半島の横須賀、遠州横須賀(大須賀町)、尾張横須賀である。
知りたいと思つた地名の由來も書いてあつた。『洲処(すか)』の近くの在る町だから『横須賀』と呼ばれるやうになつたとのこと。
『洲処(すか)』といふのは洲(す)の堆積地らしい。

更にインターネツトで調べると、『横須賀』といふ地名は全国にかなりあることが判つた。
愛知県にも尾張横須賀のほかに豊橋市や吉良町に横須賀がある。吉良の方は尾崎士郎の出生地であることも判つた。
小僧は何度も映画化された『人生劇場』のほとんどを見てゐて、作者尾崎士郎が吉良町の出身であることは知つてゐたが、産まれた村の名が横須賀といふことまでは知らなかつた。それは余談だが、兎に角『横須賀』といふ地名は格別珍しいものでもないらしい。

なーんだ、さうだつたのか、と、もう少し刺激的な、好奇心を更にくすぐるやうな意味を『横須賀』といふ地名に期待してゐた小僧は、少々拍子抜けの格好でため息をついた。
つまり、スカを食つたといふことである(洒落のつもり)。
そこには、歴史的な事件や生臭い人間のドラマを示唆するものは言ふまでもなく、ちよつとした言い伝へや逸話の類も無い。

元來、地名といふものはさういふものなのかもしれない。柳田國男によると、初め名附けられた地名はその形状や特徴に基づく自然地名が多いといふ。文字は後代に当て字として附けられたものが多いともいふ。
しかし、そこで納得して諦めるやうな小僧ではない。もう少し調べてみようといふことになつた。

インターネツトで地名学の権威を探した。その一人池田何某氏は「水辺の地域は洲処(すか)と呼ばれており、滋賀や横須賀など水とかかわりの深い地域に残つてゐます。
飛鳥は『洲処』に美称の接頭語『あ』が附いて『あすか』なんです」と仰つてゐる。
他には、滋賀県の『シガ』は低湿地の意味で、そこから『スカ』に転訛したといふ説もあつた。
東北地方は今でも古語がその方言の中に多く残されてゐるので有名であるが、岩手県南部地方では『すか』は砂浜海岸を指し、福島県では砂浜や海岸を『すかつぱた』と言ふ、と方言辞典には書かれてあつた。

どうやら結論が出たやうである。やはり、『すか』は洲の堆積地、あるいは砂浜や海岸を意味するやうな言葉であり、『すか』の横に在るから『よこすか』と呼ばれ、『須』と『賀』の字が当てられて『横須賀』になつた。と解釈するのが正しいのだらう。

「ううむ、折角あれこれ調べたのに結局は南極か。これでは味も素つ氣も無いではないか」
と暫し意気消沈の小僧だつたが、更にインターネツトを駆使して、或るホームページに辿り着いたとき、小僧は目を輝かせた。
まてよ、なになに? 『スカ』は古代朝鮮語で『村』を意味する?・・・
ふむふむ、『飛鳥』の『すか』はそこに由來する?・・・
ううむ、なんだか面白くなつてきたぞおお・・・

novaの独り言
挿入画像が文意に全くそぐわない事もあるが、気にしないでいただきたい.
単に神楽小僧氏の意向に応えられないだけであるから.
なら邪魔だから余計な画像なんか挿入するなと云われそうだが...
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