尾張の山車まつりへ [横須賀まつり訪問記]−[12]


〜第12回〜
小僧にとつて都合がよいのは、世間にその顔を知られてゐないことから、自由に動き回れることである。余計なことに神経を使ふこと無く、誰にも氣兼ねすること無く、祭りを思ふ存分に楽しむことが出來る。一緒に祭りを見物してゐる人間からじろじろ見られることも無い。「ちよつと変な奴が居るなあ」と思はれるくらいである。
実際、この日も小僧は、会社から横須賀にそのまま直行したこともあつて、草臥れた背広姿で、お囃子に合はせて
「くわんぐら、くわんぐら・・・あーくわんぐら、くわんぐら」
と、踊りながら山車の後に附いて行つたのだが、多少は怪しまれても、周りから騒がれることはなかつた。(そんなことをしたら多少どころぢやないだろ)

妖怪マニアに見附けられてサインをねだられることもない。カメラの標的にされることもない。
もつとも、『今週のアングル』とか言ふてカメラを向けられたとしても、妖怪だからフイルムには写らんが。(え!写つてる?・・・サービス、サービス、少しだけよおーん)

そんな、知名度は無いが愛すべき妖怪、祭りが大好きな妖怪、それが神楽小僧。
特に山車祭りには目が無いこの小僧、横須賀まつりを訪れたのはいいが、本町組の山車に悪戯をして木偶方の鶴松師匠に睨まれたり、大門組の弁当を勝手に頂いたうえビールをねだつたりとやりたい放題。
今度は大門組の若衆相手に、少し酔つて氣分がいいのか何やら御託を並べ始めた・・・
横須賀まつりは、何といふか、オイラにとつては、かけがえの無い友人とも言ふべきものになりさうだな、これからは
え?そちらは友人になりたくないとな、まあ、さうおつしやるな、これも何かの縁ぢや
しかし、心配なこともあるな、ここも開発が進んでゐる、これからも一層開発が進むかもしれない
さうなると町も変はるなあ、変はらざるをえないだらう、いずれにしても将来は
すると、祭りはこの先いつたいどうなるんだらう?・・・

第13回へ
Copyright(c) 1998-2003 nova OwarinoDashimatsuri All right reserved
尾張の山車まつりへ 先ほどのページに戻ります [横須賀まつり訪問記][12]