尾張の山車まつりへ [横須賀まつり訪問記]−[2]


〜第2回〜
小僧は、半分諦めながらキヤンセル待ちの列に並んでゐると、無情にも小僧の前でバスはいつぱいになつてしまつた。しかし、そこで素直に、しよんぼりと帰る小僧ではない。
小僧は一計を案じた。
喜んでバスに乗ろうとする前の大学生らしき若者の尻のポケツトから、小僧はすばやく財布を抜き取ると、思つたとおり学生証が現れた。馬鹿田大学3年生中野区の凸山凹太郎とある。
すぐさま小僧はJR社員に成りすますと、ターミナルの窓口に入つて行き、放送マイクを取つた。
「中野区の凸山さーん、家が火事とのことです。至急お帰り下さーい」※1

といふことで、何とかしてバスに乗れた小僧だつたが、割り当てられた席はいちばん後ろのひどく窮屈な3人掛けで、おまけに隣が小錦が30ほど年老いたやうな、でつぷり太つた親爺ときてゐる。
この男、バスが出るなりすぐに寝てしまつたのはよいが、いびきがうるさいのなんの。
ふつうのいびきではなく、鶏が締め上げられたときに出すやうな、人をぞつとさせないではおかないしろもので、小僧の繊細な神経を休みなく逆撫でるだけでなく、臭気を伴なつた嵐のやうな鼻息が小僧の顔面を襲つてきて、必死に殺意をこらえる小僧だつた。
「うーん、それにしても、この強烈なニンニクの臭ひは堪らんなあ、妖怪はこれが苦手なんぢや・・・」
「きつと、この男は餃子をたらふく食いおつたに違ひない・・・」
「とほほ、やはり悪いことは出來んもんぢや・・・」
「これは、神様がこの小僧にお下しになつた罰に違ひない・・・」
「とほほほ・・・」

novaの独り言
※1 凸山凹太郎の財布はその後どうなったのだろう(^_^;)
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