04-06-15

 名古屋市東区の出来町天王祭は毎年6月第1土曜・日曜日に行われます.この祭りが終わった後、6月15日には「灯し上げ」という行事があり、出来町ではこれを以て当年の天王祭りが終了となり、翌日から新しい祭礼役員でスタートするのです.
 灯し上げは、夕刻陽が暮れる頃に町内の須佐之男社前の道路に、東之切(古出来町)は「古」、中之切、西之切もそれぞれ「中」「西」の文字を提灯で作って灯を入れます.
ロウソクは当年の天王祭の宵祭りで中途半端に残ったロウソクを使用します.
あたりが闇に包まれると、格納庫から少しだけ曳き出された山車の中ではお囃子の演奏が始まり、町は再び祭りムードが漂い始めます.

 灯し上げの行われる6月15日は、かつて三之丸天王社(現那古野神社)の試楽で、往時は多くの町衆が三之丸天王社に提灯を献灯したと云われます.
 また尾張藩の御畳奉行朝日文左衛門の日記『鸚鵡籠中記』には
「〜町々天王を祭り提灯を燃す事夥し.其内、奥田町高提灯、帆縣船、宝塔、軍配団扇、柳竜扇等の形、或天王の字なんどを提灯にて作る〜」
とあります.
この灯し上げの行事が三之丸天王社と何らかの関連があったのかもしれません.

朝日文左衛門は34年間に渡り膨大な日記を書き残した人物で、現在の名古屋市東区百人町辺り、つまり出来町に住んでいたようです.
 

東之切

東之切「王羲之車」


中之切

西之切
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