No.26

04-10-28追加


紙吹雪始末記
場所:東海市横須賀
 山車も無事蔵に収まり、あれだけ大勢の観客で溢れた横須賀の町に人影も見あたらなくなった頃.
その静寂と闇に包まれた町角に手に箒(ホウキ)を持った若者が集まって来る.
つい先程まで歯を食いしばり楫棒に全霊を傾けていた楫取達である.
2日間山車を担ぎ精魂尽き果て立っているのがやっとだろうに、辻々で播かれた紙吹雪を掃き集める彼ら.
ひとたび風が吹けば、紙吹雪は遙か彼方まで散ってしまう.今年のように雨が降れば、アスファルトに貼り付いた紙片は頑として路上から離れるのを拒むだろう.
どちらにせよ難儀であることに違いはないだろう.
だが黙々と紙片を掃き集める彼らの背中は、これから祭りが始まるかのように輝いているのは何故だろうか.
 「精一杯楽しませてもらったから.....」
一人が呟いた言葉がすべてを語ってくれた.

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