昔、蒸気機関車(SL)が全盛だった頃の終着駅や機関庫には「転車台(ターンテーブル)」という装置があった.機関車を客車や貨車から切り離して、機関車をグルリと180度向きを変える機械である.
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なぜ向きを変えるのかというと、例えばJR武豊線の武豊駅に到着した列車は折り返して、名古屋方面に向かうのだが、そのまま機関車を後ろから前に付け替えただけでは、機関車の向きが反対になってしまうのだ.
その気になれば蒸気機関車は反対向き(つまりバック)運転は普通に出来てしまうし、そのような例も多くあったのだが、カッコ悪いのは事実である.
山車も蒸気機関車と同じである.バックするのに特殊な装置は必要としない(ただカッコ悪いのは蒸気機関車と同じだが)
それで、山車がある地点まで進み、再び戻るとき、名古屋型の山車などは楫棒に肩を入れた楫方が担いでグルリと半回転させるのだが、これがいわゆる「どんてん」「どんでん」である.『どんでん返し』の意だろうか.
山車が方向を変える地点に、蒸気機関車の転車台のような装置を作っておけば、ラクチンだと思ったかどうかは知らないが、とっくの昔に、山車内に転車装置を内蔵してしまったのが、この高田の山車なのである.
台輪(車輪などの付いた土台)から上が、自由にグルグル回転するようになっていて、町の境まで来て、戻るときにみんなで押して、上だけを反対向きにしてしまうのだ.
それだけではない.神社にからくりを奉納するときでも、山車の上だけを神社に向ければいいのだ(この場合は90度)
山車の基本的な部分やお囃子は名古屋系なのだが、とてもユニークな高田の山車である. |
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