06-12-06

 岐阜県海津市高須町上町の山車とからくり人形
平成18年1月15日、愛知山車祭り研究会の会員が当地を訪れ、上町の山車の復元作業にあたりました.
高須は揖斐川と長良川に囲まれた高須輪中にあり、江戸時代の美濃高須藩は尾張藩の支藩ともいえる間柄で、幕末には尾張藩主徳川慶勝や会津藩主松平容保らを輩出しています.
海津市の指定文化財には明治時代に建造された本町や末広町の山車が指定されています.(上町の山車は未指定)
現在祭礼には山車は曳き出されていないようです.

上町の山車は、地元では明治時代に名古屋より買い求めたというが、詳細はわかっていない. 
山車は白木の名古屋型で、構造は尾張地方に現存する名古屋型の山車と何ら変わる部分はない.建造は後述する幕箱等から元治元年(1864)前後と思われる.
いつの頃からか前棚部分を改造し踊り舞台が設置されていた(左写真)のを、今回この踊り舞台を撤去し倉庫に残されていた部品で再び前棚を復元しました.

復元前
 
復元後

山車は以前から解体されてままになっていたが、地元の手によって組立てられ農機具置き場に保管されている.
風雨にさらされ山車の保管には適さず恒久的な保管施設が必要でしょう.

保管の為ト台車に乗せ
ここまで移動してきたようだ.
 


踊り舞台の様子.



倉庫にあった部材等


雨障子(雨覆)の箱蓋

雨障子箱
 
箱には「上甼」とある.
 
幕箱の蓋に上町とあり、箱裏に元治元年8月.


前棚の部材

前棚の部分は完成
 
高欄下の支輪周囲は宝尽くし、前棚には松竹梅の彫刻

 
人形の衣装も残されていた.
 
前面に幕を付けた状態.
神楽町?

水引幕


 海津歴史民俗資料館に上町のからくり人形が保管されていました.
人形は3体で、采振り人形の唐子1体と恵比寿・大黒の二福神のからくりと思われます.
恵比寿大黒の二福神からくりは各地にありますが、当地の人形は面被りで恵比寿人形になる珍しいからくりです.
 
童子人形が面を被って恵比寿となる. 
 
面は胴が開き格納される

采振り人形

大黒人形
 
大黒人形の箱には
幕箱と同じ「元治元年8月」とある.

前述のように、山車の保管状況は最悪で、山車の痛みは現在も進行していると思われます.
一刻も早い対応が必要です.
からくり人形は資料館の倉庫にあるため保存環境には問題はありません.
しかし頭(かしら)は痛み、壊れて動かない状態は同じ.動いてこそのからくり人形ですから.
祭礼にも使われず、地元でこの山車とからくり人形を維持管理出来ないのであれば、他に手だてはないのでしょうか.

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