名古屋祭


伊勢門水の「名古屋祭」
部屋でこんな撮影をしていると
いつも好奇心旺盛なバカ猫が

この古びて薄汚れた本は『祭屋古名』いや右から読まねばならないから『名古屋祭』.背表紙には『なこやまつり』とある.
そう、知る人ぞ知るこれが伊勢門水の『名古屋祭』である.
その内容は今は無き東照宮祭の山車をはじめ名古屋城下やその周辺の祭礼を詳細に書き留めたいわば「祭礼調査報告書」だ.
今は無き名古屋の山車の全貌を知る唯一と云ってよい貴重な資料でもある.
旧仮名遣いや見慣れない漢字もあってスラスラとは読めないが、稀代のお祭り人間でありオシャラクの固まりのような門水の書いた文章にはついつい引き込まれてしまうし、多分石版印刷だろう門水タッチの挿絵を見ているだけも楽しい.

伊勢門水は安政六年(1859)生まれで、昭和七年(1932)末広町の祭り囃子を聴きながら74歳の生涯を閉じた.
家業は足袋屋だが、狂言や書画に才を発揮し、新作狂言、長唄・常磐津の作詞なども手がけたという.
本名を水野宇右衛門というがみずのうえもんだから水の上(に)つまり門水なのだと.伊勢は前述のように屋号からとっている.

この『名古屋祭』は明治43年に限定出版されたが、昭和55年には復刻版が出版されている.
私が所持してるのは明治43年の古本で開けば明治の香りがする(単にカビ臭いだけなのか?)
当時の正價は金壱圓弐拾銭とあるが(^_^;)