平成24年の潮千祭を迎えた朝、亀崎の町は不穏な気配を漂わせていた
町のあちこちでヒソヒソと立ち話をする人
皆一様に不安そうな表情をしている
特に傀儡組(かいらいぐみ)の頭役(若者頭)たちの顔は更に深刻さを滲ませているようだ.
漏れ聞こえる声は
危険だ
祭りが出来るのか?
いっそ中止したほうがいいかもしれない
とまでいう者までいた
そろそろ見物人が集まって来る時間だ
早い人はもう浜辺で待っているかもしれない
一刻も早く決断を下さねばならない
傀儡組(かいらいぐみ)は緊急役員会を招集して、打開策を練ることにしたのだった
その緊急役員会に潜入した某から聞いた話だと、次のような会話があったようだ
幹部A「バナナ仙人がまたこの亀崎に現れるという情報が入りました」
幹部B「え!しばらく鳴りを潜めていたから安心していたのに」
幹部A「そう、ここ数年平穏な潮干祭を迎えられて安心していたのですが」
頭役C「にっくきバナナ仙人は、常に我が傀儡組を標的にするらしいのですが、対応は?」
幹部A「ありません・・・・」
頭役D「我々だけならまだしも、時には一般人を巻き込むと聞き及びます」
幹部A「それだけは我々傀儡組が体を張って阻止せねばならない」
頭役E「なぜ毎度傀儡組だけが標的にされるのですか?」
幹部A「傀儡組の古くからの伝承では、その昔『のう゛ぁ』とかいう人物が深く関わっている聞いたが」
頭役D「あ、それ私もひい爺ちゃんから聞きました.何でも浜辺で食べた豚汁がどうとか・・・」
会議はさらに続いたが、長くなるので省略する
そして結論として次のような指示が傀儡組員に伝達された
・潮干祭に来て下さる人のためにも祭りは中止出来ない.
・危険なのでバナナ仙人及びその痕跡を見つけても単独では対処しない.(とりあえず逃げろ)
・対応は傀儡組だけで.(代参元の石鹸組には迷惑をかけないこと)
ここまで読んで「さっぱり意味不明です」という方もいるだろう.
前回の事件を詳細に綴った記録があるので参考にされたい.
https://dashi-matsuri.com/series/angle_o/angle07/an0703.htm
とにかくバナナ仙人は危険らしい
だが、何が危険かは不明である
さて、ここからが今年の潮干祭で実際に起きた出来事の一部始終である
信じるか信じないかはあなた次第・・・
さっそく傀儡組の周囲に警戒網がしかれた.
バナナ仙人探索に向かった組員がさっそく不審なものを発見した
だが・・・よく見ると
単なるネコであった
ただ、少々危険なネコで組員が引っ掻かれたのをバナナ仙人のせいにするのは酷であろう.
浜辺にそろそろ見物人が集まってきたが、無論そんな騒ぎになっているとはつゆ知らず.
ちょうどその頃、浜辺の片隅でゴソゴソと怪しい動きをする人物
何かをコッソリ手渡しで受け取っていた