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長久手町・前熊地区祭礼

01/10/10更新

 愛知郡長久手町の西部に位置する前熊地区の「多度社」の祭礼です.
 この前熊には古い山車が1台あります.「天王車」と呼ばれるこの山車は,大正年間までは前熊寺境内にあった天王社の祭礼に曳かれていたそうです.
 幾度かの中断を経て,昭和62年に修理が行われましたが,現在は多度社の周辺を曳き廻すだけとなっています.

前熊の山車について
 山車は外輪を輪懸で覆う名古屋型に似た形態で,白木造りの塗りや金具等がない素朴な装飾です.
また特徴的なのは,采振り人形の置かれる前棚が無いことと,屋根が唐破風でないことでしょうか.
 伝承では江戸時代末期に名古屋の古出来町(東区)から購入したとも,大森(守山区)から買ったとも伝えられています.
 守山区大森の山車には明治中期に東之切(古出来町)から購入したとの伝承があります.
 また,古出来町の山車は,天保〜文化年間に大久保見町(或いは中須賀町)から若宮祭の祭車を買ったと名古屋祭(伊勢門水著)にあります.
確かな資料も無いため,古出来町・王羲之車の古車が大森へ譲られたのか,それともこの前熊の山車がそうなのか,或いは大森が古出来町から購入した山車を再びこの前熊に譲ったのか.また,両車ともに古出来町の古車なのかを知るすべがないのが残念です.

 屋根
唐破風ではなく起くり(むくり)破風で,油障子になっています.また,その周囲は同じく油障子による雨覆いで囲われています.
高覧下「龍」の白木彫刻

前面は格子により閉じています.

屋根の迫り上げ部分

後部には格子戸がはめられています.山車幕は平成2年新調.

車輪と輪懸

参考資料:「長久手町誌」他
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