有松祭り〜中町「唐子車」

10-01-14更新

「此車は天保時代の制作で内海の小平治と云ふ豪家が個人の物好きに二十年もかかって作りあげた唐木づくめの構造で殊に青貝塗の輪懸坏凝りに凝った山車である。夫れを故あって明治八年に當町へ買取ったと云ふ事」

と伊勢門水の「名古屋まつり」にもあるように、内海(現知多郡南知多町)の豪商前野小平治が天保年間(1830-1843)から20年あまりをかけて制作した山車で、明治8年(1875)に中町(清安町)が購入したものです.
山車の形状は名古屋型ながら、白木の彫刻や屋根の構造などに知多型の特徴が見られます.
輪懸には螺鈿が施され、珊瑚などの豪華な装飾とあいまり異彩を放ちます.
紫檀・黒檀・鉄刀木(したん・こくたん・たがやさん)などの非常に高価な銘木が使われた非常に重い山車でもあります.

※鉄刀木(たがやさん)は東南アジア原産で非常に硬く耐久性がある.刀でも切れないほど硬い事からこの呼び名がある.

■山車の特徴

 唐破風が一般の名古屋型のそれより厚く,やや太めの4本柱には枡組・虹梁があり,殆ど知多型と同じ形状をしています.
 また鬼板・懸魚の金箔押以外は素木の彫刻です.天井は二重折上げ天井.

上山の構造

二重折上げの格天井
厚めの唐破風と毛槍
追幕(見送り幕)
これも名古屋型の山車では見られません.

「あきらけ記 御代の志るしは
玉串の藁におく露の
ひ可里にも見よ   尚雄」

冷泉家の書であると伝えられ弘化4年(1847)の作

珊瑚で作られた房

大幕の飾金具

輪懸けは青貝が貼り付けられた螺鈿(らでん).

鬼 板

支輪
獅子の彫刻

中野甚右衛門重富か?
[前のページに戻る]