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水引幕・公通組

・公通組圓通車

圓通車水引幕

八公車水引幕

八公車旧水引幕

幕箱蓋表

幕箱蓋裏

赤幕の乳布
 圓通車の水引幕は紺地に千鳥である.「松に鷹」、「梅にうぐいす」など植物と鳥の組み合わされることが多いが、千鳥は「波に千鳥」として水引幕など山車の装飾に多く見られる題材である.(蛇足だが、かき氷の幟も波に千鳥だ)
 千鳥は河口や海岸の干潟に生息しする小鳥で、『尾張名所図会』(小田切春江著)にも『蠣がらや 下駄の歯音に 飛ぶ千鳥』の句があり、これは名古屋の俳人久村暁台が馬走瀬(横須賀)の浜を詠んだもの.昔は横須賀の浜にも千鳥が多く見られたのだろう.

 圓通車の場合は波は描かれておらず、紺地に白い千鳥のみという2色構成のシンプルな意匠であるが、一つ一つ違う千鳥の形が巧みに配置され洗練された感のある水引幕だ.
 この圓通車は他車に比べると、金箔押の彫刻が多く、派手な印象を受けるのだが、抑えめな水引幕が山車を程良く引き締めている.
 酔っぱらいがフラフラ歩く姿を千鳥足というが、千鳥が地上を餌を探す様を形容したものだという.ただし千鳥は俊足であるそうな.

・公通組八公車 
 八公車は吉祥模様の錦織である.昭和後期まで使用されていた水引幕も保管されているが、生地が相当傷んでおり、意匠は判然としないが、一部に鳳凰の文様が確認できる.

 この旧水引幕は、天保6年(1835)の制作と、かなり古いもので、150年もの間使用し続けていたことになる.
 横須賀では珍しく幕箱も残されており、表には『御祭禮車幕一張 八公組』とある.また蓋裏に行事、世話人などの名前とともに天保六年 町内安徳の文字が書かれている.

 水引幕は左・右・後部を囲うが、本来は長く1枚になっているのが正式である.横須賀では、この公通組の両車がそうだが、本町組・北町組・大門組の水引幕は3枚に分かれている.

 水引幕は乳布(ちぎれ)あるいは乳(ち)と呼ぶ布を縫いつけるのだが、これは□と×を組み合わせたように縫目を付ける.この乳布を角材(北町組は丸棒)に通し、山車に飾り付ける.
 また、公通組の圓通車・八公車の乳布の間には葵の紋が見えるが、理由・経緯は不明である.

 圓通車・八公車の両車は水引幕だけでなく、赤幕も乳布で山車に固定する.そのためだろうか、山車全体の印象が異なって見える.

八公車 三ツ葉葵が見える

圓通車 乳布の模様

八公車の葵の紋
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