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圓通山車蔵の棟札
文政2年に,それまで曳いていた古い山車と山車蔵を新しく造り替えたのだ. 圓通山車の台輪兜金の中に「奉献愛宕大社/文政二年卯八月/廿四日迄/造営いたス/大工棟梁/大里村 佐治吉蔵」の墨書があるという.(「尾州彫物師 瀬川治助木彫の世界」水野耕嗣著より) 上記棟札の年号と一致する事と、大里村は現在の東海市大田町であるから、現在の圓通車は文政2年に横須賀町方で建造されたと考えるのが妥当であろう. 一方、圓通の山車は名古屋から買い求めたという伝承がある.この圓通山車を観察すると,他の4台に比べ装飾など異なり,構造も一部異なる部分が見られる. この棟札だけでは詳細はわからないが,山車の形状から推定しても全くの新造ではなく,それまで保有していた古い山車を文政2年に改造した可能性も否定出来ない. 名古屋方面から買った山車を横須賀の実情に合わせ大きく改造したために、山車蔵も併せて建て替える必要が出てきたのだろうか. 「○○から買った」,「○○の方から譲ってもらった」という伝承は各地にある.何の根拠もなくただ単に「半田の山車に似ている」だけで「半田の方から買った(のだろう)」と誰かがが言った事が定説になってしまった場合や,単なる箔付けのために「亀崎から買った」と見栄を張ってしまう場合もあったかもしれない. 無論、由来・履歴が正確に伝承されているケースも多いのだろうが,年代や構造などから明らかに首をかしげたくなる伝承も見受けられるので一概には論じられない. この「名古屋から買った」圓通車だが,はたして名古屋の祭りで曳かれている山車と同じ形だから名古屋から買ったという伝承が生まれたのか,或いは本当に名古屋から買ったのだろうか. |
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