横須賀まつり〜どんてん

09-07-18更新

名古屋系の祭りでは山車を180度転回させることを「どんてん」または「どんでん」と言います.
横須賀ではこれを広義に解釈し、山車の前方を担ぎ上げて回転させることをすべて「どんてん」と呼びます.

町外れでUターンして戻る場合は180度になりますが、特定の場所では1周のみならず、2周、3周と回転させ、これが横須賀まつりの見ものとなっています.

「どんてん」は前楫4人で楫棒を担ぎ上げ山車を回転させます.後楫の4人は山車が流れないよう押さえ、また回転を補助するため楫棒を制御します. 梃子棒は使われませんので、後楫が梃子棒の役を兼ねているのです.また側面は数名で補助します.

どんてんの囃子は工夫が凝らされており、『早笛〜車切〜早神楽』の3曲がセットになっています.
どんてん前の静寂(早笛)〜どんてん(車切)〜曳き出し(早神楽)と、これら一連の動作が「序破急」の囃子展開でどんてんを演出します.

どんてんが見られるのは試楽夕刻の同盟書林角、本楽日の愛宕神社前、横須賀町交差点(UFJ銀行前)、愛知銀行角、同盟書林角などです、これらを「どんてん場」と呼びます.

■どんてんの定義

どんてんが行われるのは横須賀だけではありません.東海市大田町では「どんでん」と称していますが、同じように山車の回転が行われます.
横須賀のお手本となったであろう名古屋の祭り(東照宮祭や若宮祭)は現在ではほとんどその面影はありませんが、 東区の出来町天王祭や筒井町天王祭では山車を1/2(180度)回転させることをどんてん(どんでん)と呼びます.犬山祭も同様1/2回転させるのはどんでんです.
横須賀では1/2回転に限らず、3/4(270度)や1(360度)回転もどんてん.本来の意味からは外れていますが、山車を担いで回転させる事をどんてんといいます.

■大どんてん

本楽の夕刻、町内巡行が終わった山車は愛宕神社南の同盟書林横の交差点で山車を愛宕神社に向けます.囃子とからくり人形の奉納が行った後に行われるのが「大どんてん」です.
ここではその交差点の狭さゆえ各組ともに技と力を尽くし、楫取も最後の力を振り絞って「大どんてん」は行われます.

■曳き綱

どんてんで山車が回転する方向は右回り(時計回り)と決まっています.
そのため、あらかじめ右巻きに曳綱を山車に巻きつけてから、どんてんは始まります.
これはどんてん終了後、ただちに山車を曳き出すのが良いとされているためで、どんてんが進むにつれ山車の回転に合わせて曳綱を戻し進行方向に伸ばしていきます.

■紙吹雪

どんてんでは山車の上から紙吹雪がまかれます.昭和30年代までは清めとして大量の塩がまかれていましたが、いつの頃からか紙吹雪が代用となり、現在ではどんてんを盛り上げる一要素となっています.

どんてん場

愛宕神社の南方150mにある旧中町と伝馬筋の交差点を「どんてん場」と呼びます.西南角に建つ老舗の書店「同盟書林」があることから、別名『どうめい』ともいいます.
本楽祭の夕刻、ここで4輛の山車は愛宕神社に向け、囃子とからくり人形の奉納、そしてどんてんが行われます.
以前は交差点の四隅に軒を張り出した民家があり、現在より狭くなっていました.そのためどんてんは難しく、各組の腕の見せ所でもありました.
様変わりしたどんてん場は、それでも横須賀まつり最大の見せ場には違いなく、大勢の見物人で溢れかえります.

ありし日のどんてん場



本町組「大どんてん」

北町組「愛宕神社前どんてん」

公通組・圓通車「愛知銀行前どんてん」

大門組「大どんてん」

大門組大どんてん


本町組


北町組大どんてん