尾張の山車まつりへ [知多の山車館]−[知多市新舞子]

知多市・新舞子(旧松原村)白山神社祭礼

03-07-17更新
 新舞子の北のはずれに山車が1台保存されています.旧知多郡松原村の白山神社内にある津島神社の夏祭りに曳き出された西松原の山車で、現在は曳かれる事はなく、境内に据え置かれるのみとなっています.

山車の形態
 外輪の車輪にそれを覆う輪懸けがあり,やや小さな前棚がありますが、正面には幕がなく、御簾が飾られています.また、上山は巻藁に提灯を半球状に飾ります.
 このように、山車全体を漆塗りと金箔で仕上げられた、名古屋型類似の巻藁山車は、知多半島でもここだけに残されており、貴重なものです.
 寛政年間と推定される山車ですが、状態が悪く曳く事が出来ないのは残念なことです.

 この山車は,上山が無く,その代わりに巻藁にたくさんの竹笹提灯を半円型に飾ります.
これは津島天王祭にでる車楽船の宵祭の飾り付けと同じ様にするもので、(天王祭の朝祭には提灯は屋形と乗せかえられる)この形態の山車は、津島神社系の各地の天王祭に見られました.
 しかし,この新舞子の白山神社に現存する形態の山車は知多半島西海岸の一部にのみ存在したようです.
その分布は知多市大草の津島神社,常滑市広目や小鈴谷にあったようです.
小鈴谷ではこの山車のことを「重箱車」と呼び,その飾り付けから「花車」とも呼んだようで、広目地区では昭和30年代頃までは曳かれていたようです.
 現在では新舞子を除き小鈴谷は知多型に替え,その他の地区では山車も廃止されておりますので,この新舞子の山車が唯一の重箱車(花車)の生き残りかと思われます.
 また,新舞子の白山神社と大草の津島神社は寸分違わない,全く同じ山車があったということです.そしてまた,新舞子や大草の山車は宵祭で使用した巻藁提灯を,朝祭(次の日)には屋形と乗せ替えて(天王祭りと同じ様に)曳き廻したそうです.
前述のように,この山車は津島祭の巻藁舟を模したものであり,知多半島では上半田の「ちんとろ船」や大野権現町の「権丸」などが見られます.また形状は違いますが,阿久比の卯之山にも上山に巻藁を乗せた山車が存在するようです.
その後の調査により,知多市日長神社の森里に同様の山車が存在し,松原の山車(西組)と森里(東組)とで対をなすものだったようです.(白山神社境内の山車蔵の瓦には「西組」とあります)
協力:小鈴谷山崎氏


小さな前棚があり,前棚と上山はRの付いた高欄で繋がってます.

夜になると上山の提灯に灯がともされます.
山車彫刻は前面に1対の獅子と,神社名の灯籠に隠れて,よく見えませんが,龍の脇障子があります.いずれも金で彩色されています.
階上の床の中央に丸穴があいています.
巻藁船のように長い柱を立てていたのだろうか.
またその周囲には角穴が4つ.これはかつて行われていたという朝祭り用の四本柱の穴だと思われます.

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