美濃の山車まつり紀行
   〜大垣まつり

文・写真:古伝馬

毎年5月第二土日
本楽は雨でしたので試楽の模様をレポートします。
山車(垂井と同じく、くるまへんに山と言う字でやまと言う)は11両。祭り自体は十万石の大垣城の城下町で350年の伝統があります。
しかし濃尾地震や戦争で多くが焼失破損しました。その後修復したり新調、再建して比較的新しいものが多いのが特色です。形はバラエティに富み上山のない初期の形に近いもの、名古屋型に近いもの名古屋型の前部に舞台を付けたものがあります。いずれも車輪は内輪です。

試楽は朝9時から八幡神社前で順にからくりや奉芸をし、順次曳行して市役所前でも市長はじめ来賓の前で演技を披露します。
その後各町内を曳き回してまた八幡神社前に整列して午後7時に一斉に提灯を点灯し(バッテリーで電球を点ける)神社前の水路横の道を二周して帰ります。

大垣は西美濃の中心地で、いわば大都会ですのでドーナツ化で若い人が少なくやまの運行は学生アルバイト(東洋系外国人も含む)を頼んだり、またやまの後部に油圧ジャッキで回転用の小さい車輪を出して楽に方向転換できるようにしたものが三台あります。他のやまもあまり大きくなくホイールベースが短いのでさほど力をいれなくてもヒョイともちあがってしまうようです。
なぜか梶棒は前と後ろが別々で、一本でつながっていません。やや斜めに先端が下がり気味に付いています。

山の巡行の先頭は常に「神楽山」と定まっていますが、あとは今は早いもの順だそうです。神楽やまの巫女と山伏の人形は舞台の下から直接棒で操るめずらしいものです。
からくりで一番人気があるのは「鯰やま」のなまずとおじいさんが踊るものだそうで、おじいさんの表情がとてもユーモラスで楽しいですよ。

文字書き人形の「菅原山」も知多の太田祭り里組と同じく、文字を書くのに種板を使わずフリーハンドで書きます。書く人が好きなことを書けばいいそうですがどうなんでしょう。
垂井と同じような舞台が有るやまが二両ありますが、ここでは子供歌舞伎ではなく主に女の子の踊りをやります。垂井祭りは絶対女人禁制でしたが、大垣は反対に女性も参加する祭りです。
11両と多く、範囲も広いし運行は各町内自由曳行でなにか散漫とした印象ですが、夕方集まってきてからはとてもにぎやかで、大変な人出になります。
神社の境内には「おばけやしき」も出てマイクで大声で呼び込みをしているのがとてもこの祭りの雰囲気を表していると思いました。やまの運行など都会の祭りのひとつのあり方なのかなあと考えさせられまし
た。
本楽は曳行道順が決っていて9km弱もあるようです。とにかく広い町ですから全部つきあうのはちょっときびしいですから、ポイントをきめて見た方がいいと思います。
午前中のからくり 奉芸と、夜提灯が点いて神社前を回る時間を見計らって行かれるのがいいと思います。

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