[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][柱隠しの装飾]

第128回 柱隠しの装飾

亀崎西組「花王車」 亀崎中切組「力神車」
 脇障子に隠れがちな柱隠しですが、そうした部分にも様々な装飾がされています。柱隠しが考案され付けられた当初は特に装飾的な彫刻も施されず、鏡板状だったと思われます。当初は多かったと思われますが現在は少なく、貴重な感じもします。
鏡板状でも塗りが施されているのが亀崎中切組力神車で螺鈿による装飾となっています。彫刻が施された物で最も多いのが網代文様です。現在、最も多い装飾です。
 網代文様とは、本来は杉などの板を非常に薄く切り、編んで板状にしたもので、建築では天井板などに多く使われる装飾の様です。また、網代文様による脇障子は縁が出来、この縁を黒檀などの唐木による縁取りをしたものも多く見受けられるようになりました。
成岩西組「神車」 長尾部下門「八幡車」
 彫刻文様として珍しい物は長尾部下門八幡車の柱隠しは青海波文様となっています。青海波文様とは青海波と呼ばれる波を表した文様で丸い感じがする扇状の波が重なって出来ています。雅楽の舞曲で「青海波」があり、その舞装束に付けられた波模様が青海波文様の元と思われます。
 亀崎石橋組青龍車の柱隠しは卍崩し文様となっています。これは卍紋を崩したものを繋ぎ合わせたものです。乙川西山神楽車の柱隠しは文様でなく彫刻が施されています。特に壇箱に接する部分は壇箱の彫刻が続いている感じで非常に凝っています。
常滑奥条常石車の柱隠しはちょうど脇障子の真上部分になりますが鶴の彫刻が張り付けられています。こうした装飾も珍しいといえるでしょう。
亀崎石橋組「青龍車」
 柱隠しは脇障子に隠れた地味な部分で装飾を入れられるのも後の方になりますが、そうした部分にも様々な装飾が施されています。

鏡板状(装飾無し)   最も簡素、当初は多かったと思われる
鏡板状(彩色あり)螺鈿 亀崎中切組力神車
彫刻仕様
文様種類
・網代文様      一般的に多い
・青海波文様     長尾部下門八幡車
・卍崩し文様     亀崎石橋組青龍車
黒檀唐木の縁取り  網代文様の縁に見られる
・壇箱彫刻に合せた彫刻 乙川西山神楽車
・彫刻の張り付け    常滑奥条常石車

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