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第115回 蘭陵王

下半田中組「祝鳩車」からくり
 山車の幕、からくり人形、彫刻なのでおなじみの蘭陵王。雅楽曲の一つです。雅楽の中でも舞を伴うものを舞楽といいますが蘭陵王も舞があります。
 今回はこの蘭陵王についてご紹介しましょう。「蘭陵王」について宮廷音楽として知られる雅楽の中でも舞を伴うものを舞楽といいます。
 雅楽曲は国風の物と外来の物があります。(第114回雅楽参照)
 舞楽の中でも名作中の名作と言われる蘭陵王は唐楽に属し、赤を基調とした裲襠毛縁装束(布に穴を空け首を通して身につける形で縁には毛が付いています。唐子が付ける装束に似ていますね。)で面を付けて舞います。
 番舞としての高麗楽は納曾利になります。蘭陵王は林邑僧仏哲が奈良の唐招提寺に伝えた曲で林邑八楽(林邑(今のベトナム辺り)の八つの舞踊と音楽)の一つといわれています。
 北斉(549〜
常滑市場「常磐車」追幕 下半田中組「祝鳩車」追幕
577)の王、長恭は顔の美しさが災いして、戦場での士気が上がらないため、仮面をつけて戦いの指揮をとりました。そのかいあって金慵城下の戦いでは大勝利をえ、これを喜んだ部下たちが、この舞曲を作ったと伝えられています。
 今年、新調された常滑市場の追幕は蘭陵王でも童舞です。童舞は字の如く子供が舞うもので、元々面を付けないものもありますがが、蘭陵王など通常面を付ける舞楽の場合、童舞として子供が舞う場合は面を付けず代わりに天冠と呼ばれる飾りを額につけて舞います。
 面は大きく大人用で面を付けた時の視野はとても狭く子供には難しいし、また子供が微笑を浮かべて舞うかわいらしさが、童舞の特徴でもありますね。CMで見られる熱田神宮会館での結婚式でも童舞が舞われています。(ここでは納曾利の二人舞)
・知多地方の山車で見られる蘭陵王
追 幕 下半田中組祝鳩車
常滑市場常磐車(童舞)
からくり人形 下半田中組祝鳩車
常滑大野十王梅栄車
彫 刻 常滑北条神明車 前山蟇股
* 本年、新調の常滑市場常磐車の追幕の蘭陵王は童舞で画かれ、数ある山車飾りとしての蘭陵王としては唯一のもの。是非、常滑祭にお越し下さい。
常滑市場「常磐車」の追幕画像は祭吉氏提供

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