[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][太平鰭]

第118回 太平鰭


知多型の太平鰭 乙川浅井山「宮本車」上山後部

名古屋型の太平鰭 横須賀本町組上山前部

彫刻のない美浜町布土「護王車」前山

力神の太平束 常滑市坂井「松尾車」前山
 太平鰭とは山車の唐破風部分懸魚の更に奥まった部分の妻飾りをいいます。知多型は前山と上山前後で三ヶ所、名古屋型は上山前後二ヶ所になります。
 太平鰭の名称は二重虹梁の上部中央に棟を支えるがありますが、こうした束の中でも特に彫刻が施された物は形が瓶子に似ていることから太瓶束といいます。太平の字を当てるのは縁起かつぎのためです。
 この太平束の両脇をの様に飾ることから太平鰭と呼ばれます。一部の書籍には笈形と解説したものがありますが笈形とは太平束の両脇が蟇股に似た物をいい、知多型山車では見られません。
 この太平鰭、奥まった部分で懸魚の影になり非常に目立ちにくく彫刻が入れられる順序としては後のほうになります。懸魚がまだつけられていない場合は良く見えますがこうした場合、太平鰭も彫刻が入れられていません。
 太平鰭の彫刻は太平束を置き左右に分割されたものと、太平束を置かず一面に彫られたものがあります。一面に彫られたものは太平鰭の背板の内側に棟を支える構造材としての束が置かれます。
 左右に分割されたものでも太平束ではなく力神を置いた物もあります。こうしたものは力神は棟の過重はなく装飾的な彫刻で構造材としての束があると思いますが、ご存知の方は教えてください。
成岩西組「神車」前山太平鰭

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