[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][常滑祭の見所〜山車編]

第80回 常滑祭の見所〜山車編

 前回は常滑祭全体の見所を紹介しました。今回は6台の山車それぞれの見所を紹介しましょう。常滑祭の現在の山車は大正年間から昭和にかけての建造で比較的新しい物です。氏子世帯数の増加、経済が豊かになり、近年各字山車は改修が盛んに行われ、立派になってきました。
 半田山車祭の影響もあるとは思いますが六字という山車組の多さがそれぞれ競争切磋琢磨してきた結果として現在のような立派な山車が6台揃うようになったと思います。
・保示字「保楽車」浦島太郎の壇箱
 保楽車の壇箱はお馴染み「浦島太郎」です。他の浦島太郎は亀を助ける場面(半田協和砂子白山車蹴込み)ですが、保示のものは亀に乗っています。壇箱横のたこはかわいげがあります。漁師町にちなんだものでしょうか。蛇足で上山の鬼板には灯台のマークのような彫りがありますが、あれは旧常滑町の町章です。これは漁師町とは関係ありません。
・市場字「常磐車」花街の面影
 古き良き花街の面影を残す常磐車、殊に夜山車を飾る提灯は全て赤で他字に比べとても艶やかです。囃子も昼とは異なり「夜囃子」では鉦が入り賑やかです。花街のお座敷芸が取り入れられていると言われ「農兵節」「桑名の殿様」やお馴染みのものでは「花咲か爺さん(市場では柴舟という曲名です。)」(裏の畑でポチが鳴くというあれです。)などがあり、誰でも囃子が楽しめます。
・山方字「常山車」牛若丸と烏天狗の前山懸魚
 牛若丸と烏天狗の前山懸魚といえば立川角三郎による半田乙川浅井山のものが思い浮かびますが、山方のは初代彫常によるものです。講座でも立川と彫常で同題材の彫刻の比較を紹介していますが、立川でも角三郎と彫常。乙川と合わせて見てみてください。
・奥条字「常石車」金塗りの彫刻
 近年、前部の堂山蟇股に彫刻が入れられました。題材は例の如く「いせえび」奥条の山車には水引幕を始めとして随所にいせえびの装飾が入っています。前部の堂山蟇股に彫刻が入れられたのはなんと金塗りの彫刻。白木彫刻の山車に輝く金塗りのいせえび彫刻。なかなかの趣向です。前山に隠れて非情に見にくいですが、高台に上がって探し見てください。(土曜の昼神明社下の保育園のフェンス越しに見るのがグーです。)
・瀬木字「世楽車」上山のセリ上げの囃子
上山をセリ上げは「関所」と呼ばれる囃子に合わせて行われます。セリ上げに囃子があるのは常滑地区では瀬木字だけです。囃子の掛け声に合わせてセリ上げの綱が引かれ、上山が徐々に上がっていきます。囃子の調子も徐々に早くなり上山が頂点に至るときの囃子の大鼓と小太鼓のバチさばき(一人でします。)は見事なものです。(私はまだまだ上手くできません。先輩におまかせ。トホホ)上山を下ろす時には「遊神楽」と呼ばれる囃子で下ろします。
・北条字「神明車」二代目彫常の彫刻
昭和三十八年建造というのは知多でも最も新しい山車ではないでしょうか。その為山車彫刻はほぼ全て二代目彫常によるものです。知多の山車彫刻では初代彫常が強調されますが、二代目の彫刻もすばらしいものです。二代目が彫刻全てを手掛けたのが北条の神明車です。

先ほどのページに戻ります   [尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][常滑祭の見所〜山車編]