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第74回 蟇股の数と構造

・蟇股の数
山車の構造上によって蟇股の有無があるように、斗形の構造によって蟇股の大きさや数がことなり、山車毎に一定していません。

<例>壇箱
壇箱蟇股 下半田北組「唐子車」
下半田北組唐子車の壇箱には斗形が小さく、正面から考えると六組の斗形が配され、その間の蟇股は五ヶ所になります。他には五組の斗形に蟇股四ヶ所の岩滑西組御福車や四組の斗形に協和西組協和車などがあります。側面も同様に斗形による分割で蟇股が二ヶ所になる場合やそうでなく一ヶ所になる場合があります。

<例>前山並びに上山蟇股
前山蟇股 下半田南組「護王車」
中央に斗形を配するか、しないかによって異なります。配する場合は左右二ヶ所の蟇股になります。岩滑義烈組八幡車などで彫刻の題材も左右対称の場合が多いようです。配さない場合は空間が広く取られ、一ヶ所横長の蟇股彫刻が入れられます。下半田南組護王車などで彫刻の題材も横長一面に彫られます。特殊な物では乙川殿海道山源氏車の上山は中央に二つ斗形が配され、個々の斗形の間に空間の余裕がなく蟇股もありません。

<例>堂山蟇股
堂山蟇股 上半田北組「唐子車」

堂山蟇股については一概には言えませんが凡そ堂山柱の数に伴う斗形の数によって数が異なります。斗形と蟇股の数の関係は壇箱、前山、上山と変わりはありません。
・蟇股彫刻の構造
蟇股の彫刻は付けられる部分によって構造が異なります。堂山蟇股と前山・上山蟇股(壇箱蟇股も含めます。)に分けられます。構造的な違いははめられ方です。堂山蟇股は彫刻背面に穴が空けられた金具が付けられます。蟇股部分には背板が付けられ、ちょうど金具の部分に穴が空けられ、そこに彫刻の金具がはまり、裏で留めます。彫刻の背面で留められる構造のため背面には彫刻は施されません。これに対し前山・上山の蟇股彫刻は下部に穴が空けられます。虹梁(上山は斗台輪)にはほぞとよばれる木片が突出し、これに蟇股彫刻がはめられます。上には斗形が置かれ、ちょうど虹梁と斗形で挟み込む感じです。彫刻を上下で挟み込む構造のため、背面も見え背面にも彫刻が施されます。壇箱の蟇股は上から斗形で押さえ込みませんが下部のほぞではめるため構造上、前山・上山の蟇股彫刻同様、見えませんが背面にも彫刻が施されるのが特徴です。

                   前山蟇股 『粟穂に鶉』 亀崎田中組「神楽車」

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