[尾張の山車まつり]−[祭吉の山車祭講座][唐破風と破風板の発達]

第69回 唐破風と破風板の発達

 山車の屋根は特徴的な曲線を持ち、唐破風造り(からはふつくり)といわれます。唐の字が使われていますが、この屋根型は日本独自のものです。
建築で正面を平(ひら)といい、側面を妻(つま)といいますが、山車の場合は正面、背面が妻にあたり、破風板も妻飾りの一つです。風を破ると書く破風は、平に当たる垂木が掛けられた屋根の面の部分は風が当たっても、斜めの面ですから風は上に上がって逃げます。それに対し、破風の面は垂直ですから、風が当たっても、逃げることなく、分か
神明造りの千木
れます。そうした事から破風の字が当てられるようになったと思います。唐破風の前面につけられた板を破風板(はふいた)といいます。古い建築では元々、この破風板は有りませんでした。屋根の両端の垂木が発達したものと言われます。古い建築の例として神社建築で神明造りの社殿があります。伊勢の神宮の社殿がこの形式ですが、この社殿形式、古く弥生時代の農作物の保存蔵を起源とされることは良く知られています。この両端の垂木の屋根を突き出た部分が千木(ちぎ)と呼ばれ神社建築を特徴つけるものものとなり、下の部分が破風として発達します。この垂木は屋根に並べられた垂木よりも太い材が使われ、金具の装飾も付けられます。古い民家の破風を垂木型「たるきがた」ともいいます。こうした屋根の妻に更に覆うように付けられた板が破風板となるのです。棟木や桁を隠すための妻飾りとして発達していきました。

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